雇用関連助成金には、「雇用保険適用事業所であれば受給できる」という大前提があります。
「雇用保険適用事業所」自体には、雇用保険加入者が1名でもいればなれますので、助成金を申請するうえでハードルが低い、という趣旨でよく語られます。
しかし裏返してみれば、ある時点から雇用保険適用事業所でなくなってしまうと、助成金受給の権利もなくなってしまう、ということになります。
特に以下のような場合には、すでに申請手続きが完了していても助成金が受給できない場合がありますので、注意が必要です。
①事業や法人の統廃合、廃業などにより、主体となる法人(雇用保険適用事業所)が消滅する可能性がある場合
②従業員がごく少数(1~2名)しかおらず、退職により雇用保険被保険者がいなくなってしまう可能性がある場合
助成金を申請する法人(事業所)においては、いずれも頻繁に起こることではありませんが、
私どもが数多くの申請サポートをしているうち、両方とも実際に起こったケースがあります。
あと重要なポイントとしては、「いつの時点まで雇用保険適用事業所であるべきか?」という点です。
よく「申請の時点で雇用保険適用事業所であればいい」とも思われがちですが、
実際には、「各都道府県労働局による審査を経て、最終的に支給決定がなされる時点において雇用保険適用事業所である」必要があります。
申請の対象となる従業員が申請以降に退職していても、それによって支給要件を満たさないわけではありませんが、
申請が終わっても、「雇用保険適用事業所」自体は支給決定が降りる(支給決定通知書が届く)まで廃止せずに残しておく必要があります。
せっかく申請手続きが完了し、受給を見越していたのに受給できなかった、ということが無いように注意しましょう。