どのようなケースで申請できるのか?
雇用するパートスタッフさんの「労働時間」を延長することで、「1週間の所定労働時間が正社員の3/4以上」となり、社会保険に加入することになるケースは結構あると思います。「介護」「物流」「飲食」等、パートスタッフを多く雇用されている会社では特に多いですね。
社会保険に加入することで、会社にとっても相当な負担増となりますが、こればかりは致し方ありません。そこで、社保加入に伴う会社負担を軽減する趣旨で、「キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)」という制度があります。
従来からあった制度ですが、2019年度からは、「支給額」「支給人数」がともにアップされ、より利用メリットが高まっています。
支給要件
対象となるのは、以下の全ての要件を満たすパートスタッフです。
①過去6か月間、継続勤務している
ですので、入社時点から社会保険に加入する人や、入社6ヶ月経たずに社会保険に加入する場合は、対象となりません。
②週所定労働時間を「5時間以上」延長する
従来からの週所定労働時間と比較し、5時間以上延長(例.週25時間→週30時間に延長)した場合となります。
※週5時間未満の延長であっても、その他の昇給要件・助成金申請手続きを満たせば対象となりますが、手続きの難易度と支給額を鑑み、本記事では割愛させていただきます。
③新たに「社会保険」に加入する
上記の労働時間を延長するタイミングと同時に、社会保険に加入する必要があります。
④労働時間延長後6か月間、継続勤務する
延長および社保加入から6か月間、辞めずに継続して勤務される必要があります。
支給額・支給人数
支給額は、対象スタッフ一人当たり225,000円(昨年度は190,000円)、
生産性要件を満たす会社は、一人当たり284,000円(昨年度は240,000円)
となります(※中小企業区分の金額です)。
また、1年度に1事業所(※雇用保険適用事業所)として申請できる上限人数は、
45人(昨年度は15人)と拡充されています。
受給に向けた手順は?
受給までの必要な手続の流れは、以下の通りです。
1.キャリアアップ計画書の作成・提出
「短時間労働者労働時間延長コース」も適用する旨を、記載しておく必要があります。
2.対象スタッフの週所定労働時間延長を実施
延長した際には、週所定労働時間および社会保険加入状況を明記した「労働条件通知書」または「雇用契約書」を作成下さい。
3.延長後6か月分の賃金を支給
労働時間延長後、「労働条件通知書」記載の条件通りに6か月分の賃金を支払います。
4.支給申請
3.の6か月分の賃金支給日から2か月内に支給申請を提出します。
詳しくお知りになりたい方は、
が無料でダウンロードできますので、どうぞご参照ください。
さらに高い申請額を狙う方法とは?
同じ「キャリアアップ助成金」の中の別コースである「正社員化コース」のうち、「有期→無期転換」の要件を適用することで、
対象者一人当たり285,000円(生産性要件を満たす場合は360,000円)
を合わせて申請することができます。
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パートスタッフの時給を5%アップすれば申請できる助成金とは?
例えば、入社から6か月間が「有期雇用」であった方が、労働時間を延長し社保に加入するタイミングで、契約形態を「有期→無期雇用」に変更し、かつ時給を5%アップすれば、合わせて申請できます。
なお、「正社員化コース」と「労働時間延長コース」は、必ずしも同時に適用・申請する必要はありません。
それぞれ別途の支給要件ですので、 要件を満たしたタイミングで1コースごと申請することもできます。
いずれにせよ、パートスタッフの処遇改善(社保加入や時給アップ)には、相応のコスト負担が発生します。会社にとっての負担を軽減し、スタッフに処遇改善のメリットを享受いただくためにも、ぜひ活用していただきたい助成金です。