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給与計算を「社労士に依頼」「税理士に依頼」「自社対応」のどれが正解か?

給与計算業務で溺れてしまわないように…

給与計算は、従業員を1人でも雇用していれば毎月必ず発生する労務業務です。

私どもは「社労士法人」ですので、多くのお客様に「給与計算代行業務」をお勧めして受託する立場ですが、

経営者の立ち場で考えると、給与計算業務を行う方法として、大きく「3つの選択肢」が存在します。

1.自社で行う →①経営者が行う ②担当スタッフが行う

2.税理士にお願いする

3.社労士にお願いする  

今回は、それぞれの選択肢についての「メリット」「デメリット」を検証しますので、自社にとってのベストを探る参考にしてみてください。


目次

自社で給与計算を行う場合

創業のタイミングでは、多くの会社がとる選択肢です。

最初は、
①経営者自らが計算を行うケース

が多いでしょう。

そのメリットとしては、

・直接コストがかからない(もちろん「間接コスト」はかかりますが)

・一旦ソフトを使い慣れれば、そんなに不便を感じない

・自分の給与も自分で計算できるので、人目を気にせずに気楽

が挙げられます。

デメリットとしては、

・経営者が時間を取られる

・労務の専門家ではないので、計算が正しいかどうかわからない

ということになります。

給与計算の本来の趣旨や、経営者としての優先事項から言えば、人数規模が少ない(例えば5名以内)うちは自ら計算する合理性もありますが、

それ以上の人数規模になってくると、計算時の負担もそれなりに発生しますので、他の選択肢により経営者からは手離れさせるのが望ましいといえます。

また、自社で行う場合でも、

②担当スタッフが行う

会社様も多くあります。

そのメリットとしては、
・社内なので融通が利きやすい(計算内容・納期ともに)

ことが挙げられます。

デメリットとしては、

・固定費(人件費)がかかる

・担当者が退職するなどの継続リスクがある

・社内の機密保持に神経を使う

という点があります。

もちろん、社内の給与情報を扱うので、通常は信頼できる方(口が堅い方)に任されますので、「社内で情報が洩れて…」という話は、それほど耳にするわけではありません。

しかしながら、あまり表には見えづらいデメリットとして、「担当者の中で心理的に溜まっていく膿」のようなものが実際にはあると感じます。
つまり、「へえ~、あの人はこれくらいもらってるんだ~」「社長って結構報酬とってるんやな~」みたいな感情が引き金になって、会社に対してネガティブな感情をもたれることもあります。


税理士に依頼する場合

10名以下程度の中小企業であれば、税理士に頼まれている会社がかなり多いですね。

やはり、税務顧問を頼まれるついでに給与計算も提案(依頼)されて、一緒に始められるケースが多いと思います。

税理士に給与計算を頼まれるメリットとしては、

・経理代行/税務と同じ一つの窓口で済む

・給与計算とセットになる年末調整まで含めて、一貫して処理してくれる

が挙げられます。

一方でデメリットとしては、

・雇用保険や社会保険の入退社時の手続は代行してくれない

・労務相談には専門家としての対応は難しい

・雇用関連助成金の申請代行ができない

といったところです。

雇用保険や社会保険の手続きをサポートされる税理士もおられますが、法的には税理士のライセンスでは手続代行はできませんので、あくまでご厚意としてのサービス対応、だとご認識ください。


社労士に依頼する場合

社労士に給与計算を依頼される動機としては、先ほどの「税理士に依頼される場合のデメリット」の裏返しになります。

つまり、社労士に依頼するメリットとしては、

・入退社手続きもセットで依頼できて楽

・給与計算から派生する労務手続(社保の定時決定・随時改定・賞与支払届・労働保険料申告 等)までしてもらえる

・労務相談にも対応してもらえる

・助成金申請まで連動して任せられる

となります。

従業員が10名を超えてくると、「入退社手続」の頻度も増えてきますし、

10名も人が集まればそれなりに「クセ」があったり、労務知識を身に着けた方もおられますので、その方々へ対して、きちんとした法的な知識・理論を持った対応も必要になってきます。

一方でデメリットとしては、

・コストが発生する

・年末調整や住民税について、税理士との取次・連携が必要になる

となります。

コストについては、それまで「自社で計算」されていた場合はプラスの外部費用となりますが、税理士に依頼されていた場合との比較で言うと、相場としてはそれほどの差はありません。それぞれの見積もりをとって比較してみてください。

「税理士⇔社労士の連携」については、「年末調整」や「住民税異動届」について、両者の役割分担を決めたり、情報を共有する必要があります。逆に言うと、その2点くらいでしか、協議が必要になってくる場面はありません。

ちなみに、「年末調整」については、年末調整に必要な給与額や社会保険料の確定・チェック作業までは社労士で対応可能なものです。社労士側で使用するクラウド給与システム(マネーフォワードクラウド給与/freee人事労務 等)により、「ペーパーレスでの年末調整手続」も可能となりますので便利です。

税理士で年末調整を行う場合は、年末調整に必要な「給与支払データ」を社労士から顧問税理士へ直送してもらえれば、会社としてはデータ取次の手間をかけずに、年末調整を済ませることができます。

(参考記事)給与計算をアウトソーシングするのがいいか?内製化するのがいいか?の境目

あと、

・助成金申請との連動

は、社労士に依頼する最大のメリットなのですが、社労士ならどこでも対応してくれる訳ではありません。

社労士の中でも、「助成金申請はしない」「対応できない」「するけど不得意」という事務所もありますので、
現在の顧問社労士がそれに当てはまると、見えないところで会社の「逸失利益」が発生している可能性があります。

人数が多いほど、よく中小企業で活用されている「キャリアアップ助成金」の申請可能人数も増えますので、「どれくらい申請できるのか?どうすれば申請できるか?」を、一度顧問社労士に確認されることをお勧めいたします。

そこで、納得できる返答や明確な対応方針が返ってこないようなら、助成金も含めたトータル対応ができる社労士への依頼をご検討ください。


ちなみに、私ども「はた楽」では、全国の中小企業を対象に、リモートサポートが可能な

給与計算らくらくパック

をご提供しております。

導入イメージは、こちらの動画をどうぞ参照ください。

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