令和6年度 都道府県別最低賃金【最新情報】~「最賃割れのチェック方法」と「活用できる助成金」とは?

全国平均額は、昨年度から51円引上げの1,055円

令和6年度の都道府県別最低賃金の答申額が、8月29日に出揃いました。

平均51円の引き上げは、制度始まって以来の最高額となります。特に、人材確保が難しい地方で、目安額を上回る積極的な引き上げが実施されます。

都道府県ごとに異なりますが、最短で10月1日付けで発効となりますので、新しい最低賃金を下回る場合は、会社側での昇給準備が必要となります。

最高額が、東京都の1,163円、次いで神奈川県が1,162円、大阪府1,114円となっています。

最低賃金をクリアしているか?の判定方法

時給の従業員については、最低賃金との比較が分かりやすいのですが、「月給」の従業員についても、最低賃金割れを起こしていないかのチェックが必要です。

判定方法としては、

『1時間あたりの所定賃金が、最低賃金以上となっているか?』を計算します。

1時間当たりの所定賃金 = ①月給額 ÷ ②年平均1ヶ月所定労働時間

例)従業員Aさん 基本給180,000円/家族手当10,000円/固定残業手当10,000円、年間所定労働時間252日/1日所定労働時間8H の場合

まず、①の月給額についてですが、法律では「以下の賃金は除いて算定」することとされています。

●精皆勤手当

●通勤手当

●家族手当

●賞与

●時間外/深夜労働/休日労働に対する賃金

次に、②の年平均1ヶ月所定労働時間の求め方は、

年間の総所定労働時間÷12か月=(252日×8H)÷12か月=168H

以上より、上の例:従業員Aさんの時間単価は、

180,000円 ÷ 168H = 1,071円

となり、令和6年10月以降の最低賃金額に照らし合わせると、愛知:1,077円、埼玉:1,078円、千葉:1,076円などでは最低賃金割れ、京都:1,058円ならクリア、となります。

最低賃金引上げで使える助成金はあるか?

厚労省管轄の助成金で、賃金引上げに関連する助成金としては、今年度以下の制度が用意されています。

特に『業務改善助成金』は、最低賃金に近い水準(50円以内)の従業員の賃上げが対象となる助成金です(※合わせて、生産性向上のための設備・システム投資が必要)。最低賃金アップより、賃上げが必要となる従業員を対象にできる可能性もありますので、要チェックです。

業務改善助成金(中小企業最低賃金引上げ支援補助金)

「最低賃金との差が50円以内の従業員」を賃上げし、合わせて「従業員の生産性向上につながる設備投資・システム投資」を行った場合に、投資額の3/4(※賃上げ額/人数により上限額あり)が助成されます。

▼詳しくはこちら参照

【令和6年度】業務改善助成金(中小企業最低賃金引上げ支援補助金)が申請できるのはどんな場合?

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

『有期契約社員/パート社員→正社員に転換(キャリアアップ)』し、時間単価で3%以上の昇給を行った場合に、一人当たり80万円が助成対象となります。

▼その他要件など、詳細はこちら

【令和6年度版】キャリアアップ助成金正社員化コースが1人80万円へ拡充。申請の留意点と手順は??

給与計算上の最低賃金の扱い&助成金活用は、どこに聞けばよいか?

給与計算上、最低賃金を下回らないような金額設定については、社内の人事・労務部門にて責任を持って設定・改定を行う必要があります。

また、給与計算のアウトソーシング先や、顧問社労士がいる場合は、そちらに確認のうえ、改定が必要な従業員がいないか?いくらに改定する必要があるか?を理解し、必要な措置を新最低賃金の発効前にとってください。

活用可能な助成金についても、合わせてご確認ください。

◆最低賃金のチェック方法について(解説動画)

私ども社会保険労務士法人はた楽では、「給与計算のアウトソーシング」&「雇用関連助成金の申請代行」で、全国どの都道府県でもサポートを提供しています。ぜひ、以下のページも参照ください。

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