東京都内で事業を営む中小企業が申請対象となる『働くパパママ育業応援奨励金(働くパパコースNEXT)』。令和6年度、さらに加算額がアップして、受付が開始されています。
(参考)東京しごと財団:働くパパママ育業応援奨励金(働くパパコースNEXT)
男性従業員の育休取得が対象になり、従業員を雇用する「会社が受給」できる奨励金です。
目次
「対象となる会社」の範囲は?
それではまず、受給対象となりうる会社(法人および個人事業主)の範囲を確認しましょう。
①常時雇用する従業員数:300名以下、である中小会社
②都内に本店登記や支店の事業所があり、実態として都内で事業・営業を行っている
(個人事業主の場合は、都内税務署に開業届を提出していること)
③都内勤務で常時雇用の従業員(雇用保険被保険者)を2名以上、かつ6か月以上継続雇用している
④これまでに、東京都の同様の奨励金(パパコース)を受給していない
(申請は、1事業者1回までとなります)
「対象となる従業員」の要件は?
申請対象となる従業員の要件は、以下の通りです。
①雇用保険被保険者として、育業開始前に6か月以上継続雇用している
②育業開始1か月前の時点で、都内の事業所の所属・勤務している
③子が2歳になるまでに「合計15日以上育業」している
※「育業」とは?:育児介護休業法に定める育児休業を指す。
④育業後「原職に復帰」している
※「原職に復帰」とは?:育業前と同じ業務・部署・勤務場所・職位・同等以上の給与、にて復帰していること
※勤務時間については、育休規程に定めた短時間勤務制度が適用される場合は、時短もOK
「受給金額」はどうやって決まるの?
本奨励金の受給額は、「育業取得日数」に応じて、以下のように決まります。
育業日数 | 15~29日 | 30~44日 | 45~59日 | 60~74日 | 75~89日 | 90~104日 |
受給金額 | 25万円 | 55万円 | 82.5万円 | 110万円 | 137.5万円 | 165万円 |
育業日数 | 105~119日 | 120~134日 | 135~149日 | 150~164日 | 165~179日 | 180日以上 |
受給金額 | 192.5万円 | 220万円 | 247.5万円 | 275万円 | 302.5万円 | 330万円 |
また、「育業を支える周囲の従業員を支援するための取り組み」を行った場合、取り組み1つにつき20万円(最大4つで80万円)が加算されます。
加算① 管理職の育業と社内周知
管理職であるパパが育業し、自らがロールモデルとなり職場に情報発信し、育業しやすい職場作りに取り組んだ場合に対象となります。
※管理職の範囲:一般的に「指揮命令権を有する役職者」であり、例示として、課長、部長等、また代表取締役や役員も含みます。
加算② パパ向け育業マニュアル作成&育業メンター制度
これからパパ育業を取得する従業員向けに、最新の育児休業法や、育業準備事項、給与面に関する情報等が記載されているマニュアルを作成します。合わせて、パパ育業についての社内メンバーを選定基準を定めます。
加算③ 同僚への応援評価制度&表彰制度
育業を支える周囲の従業員を評価する制度(実際の導入・運用実績が必要)と、表彰制度の導入(就業規則等に明記)により、加算対象となります。
※対象となる取り組み期間
応援評価制度:令和4年4月1日以降~申請日まで
表彰制度:令和6年4月1日以降~申請日までに就業規則等を労基署に届出
加算④ 同僚への応援手当支給
合計30日以上の育業を取得し、育業取得従業員と同じ所属部署の従業員に、合計20万円以上の応援手当を支給した場合に、対象となります。
これらのうち、まず加算①については、対象者が管理職であった場合は、ぜひ取組んでおくべきものです。
加算②は、「パパ向け育業マニュアルの作成」がハードルとなりますが、自社だけで取り組まず、例えば私ども社会保険労務士法人はた楽でも策定支援は可能ですので、合わせてご検討ください。
加算③は、人事評価制度がある会社様でしたら、そこに項目追加等で導入できますので、こちらもどうぞご相談ください。
加算④は、手当の支給原資の用意がまず必要です。財務的な問題が無ければ、積極的に取り組んでみてください。
「申請スケジュール」は?
申請スケジュール、および申請期限を確認しましょう。
また、現在受付されているのは「令和6年度の受付分」の奨励金ですので、令和7年3月31日までに申請提出されたものが受給対象となります。令和7年度以降の制度については、東京都の発表をお待ちください。
「提出書類」は?
申請書の様式、および提出書類の詳細については、以下のページからダウンロード・参照できます。
(参考)東京しごと財団:働くパパママ育業応援奨励金(働くパパコースNEXT)
提出書類についての主なポイントを、以下にまとめます。
①公的証明書類(法人/個人事業主)
法人の場合:登記簿謄本、法人事業税・都民税の納税証明書
個人事業主の場合:開業届、個人事業税・代表者の住民税の納税証明書
といった公的証明書類の写しの提出が必要です。
②就業規則・育児休業規程 等
本奨励金の申請においては、従業員数が10名未満の会社も、就業規則・育児休業規程の届出・提出が必須となりますので、ご注意ください。
③育業対象者の出勤簿・賃金台帳
それぞれ、育業1か月前~育業期間~復帰後3か月の全期間分、の提出が必要です。
④加算申請時の、取組実施証明書類
「育業を支える周囲の従業員を支援するための取り組み」の加算申請を行う場合、取組実施を証する書類(例.周知文書、育業マニュアル、表彰制度規定)を合わせて提出します。
同じ「男性育休」でもらえる助成金もある?
厚生労働省が管轄する『両立支援等助成金(出生時両立支援コース)』を合わせて申請することが可能です。
(参考)男性の育休取得が対象となる「子育てパパ支援助成金」とは?
また、「育休期間が3か月以上」になる場合は、同じ「両立支援等助成金」の中に、「育児休業等支援コース」という別コースがあります。こちらは、女性従業員の育休で申請されるケースが多いですが、男性従業員の育休でも「育休期間が3か月以上」の要件を満たせば申請が可能です。
(参考)出産スタッフが育休をとることで申請できる助成金とは?【令和6年度 両立支援等助成金 育児休業等支援コース】
こちらのコースの場合、「3か月以上の育休取得後:30万円」「職場復帰後6か月以上継続勤務:30万円」の申請が可能なため、助成金額としては多くなります。
助成金申請と「産休育休手続」を合わせてカバーするには?
ご説明してきたような「会社が受給できる助成金」の申請に加えて、育休取得により従業員が受けられる「育休給付金」や「社保の免除手続」といった一連の「産休育休手続」の代行を合わせてサポートするのが、社会保険労務士法人はた楽が提供する「産休育休らくらくパック」です。
社内でこういった手続きを実施するマンパワーや経験が無い、顧問社労士がいなかったり、対応してくれない、という場合は、ぜひご活用ください。
▼代行サポートの詳細はこちら
▼産休育休手続と助成金受給額がわかるガイドブック