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就業規則のひな形とは?活用する際のポイントや注意点についても徹底解説

就業規則のひな形について知りたいと悩んでいませんか?

この記事では「就業規則のひな形とは?」について紹介していきます。

結論、就業規則のひな形とは、厚生労働省のモデル就業規則が挙げられます。

他にも「就業規則のひな形を活用する際のポイント」や「就業規則のひな形を活用する際の注意点」についても解説します。

また「就業規則とは?」について知りたい方は、こちらにて解説を行っておりますので、ぜひ確認してみてください。

目次

就業規則を作成する目的

就業規則とは、労働時間や労働条件などの職場内のルールを定めたものです。

具体的に就業規則を作成する目的については、以下が挙げられます。

  • 企業の秩序維持
  • トラブルが起きた際に役立つ
  • 企業としての責任を果たすため
  • 会社や従業員を守るため

企業の秩序維持

就業規則を作成する最大の目的は、会社の秩序を保つことです。

企業側は、従業員に指示などを行う際に、あらかじめ就業規則を決めておけば、明確に提示ができます。

従業員側についても、企業側に不明点や不満などがある場合でも、就業規則を確認すれば解決するケースもあるので、就業規則は企業の秩序維持に効果的に働きます。

トラブルが起きた際に役立つ

就業規則は、企業内でトラブルが起きた際に役立ちます。

例として、転勤などの命令を拒否する従業員への対応や、規律違反を行った従業員の解雇などトラブルが起きた際には、就業規則に定められている規定に沿って行動を行えます。

トラブルが起きた際、就業規則に何も記載されていなければ、従業員に転勤や解雇を命じることができません。

このように、就業規則はトラブルを速やかに対処するには、必要不可欠なものと言えるでしょう。

企業としての責任を果たすため

就業規則には、企業としての責任を果たす目的も含まれてます。

企業は、従業員が働きやすい環境を提供する責任があるので、職場内でパワハラやセクハラなどを防止する目的で、就業規則を規定しています。

パワハラやセクハラなどは法律上でどのような措置をするべきか義務付けられているので、その内容を就業規則で規定する必要があります。

会社や従業員を守るため

就業規則は、従業員や顧客、クライアントなどの重要な情報が漏洩してしまうリスクを減らして、会社や従業員を守る目的があります。

具体的には、会社情報を社外に持ち出さないなどと、就業規則で規定しておけば、トラブルの予防にもつながります。

また、従業員のメンタルヘルスに問題ある場合には、就業規則の規定内容に、休職規定を定めておくと、企業側としても適切に対応ができます。

このように、就業規則は従業員と企業自身を守る重要なものと言えるでしょう。

就業規則のひな形とは?

就業規則のひな形とは、厚生労働省がホームページに掲載している「モデル就業規則」を指します。

製造業や飲食業、金融業などと業種ごとにモデル就業規則があるので、自社の業種に合わせて活用できるメリットが挙げられます。

厚生労働省のホームページ以外にも、書店やインターネットでも就業規則のひな形は多くあります。

これから就業規則を作成したり、改訂などを行う予定がある方は、就業規則のひな形を活用することをおすすめします。

就業規則のひな形を活用する際のポイント

就業規則のひな形を活用する際のポイントについては、以下が挙げられます。

  • 自社の事業実態に合っているかどうか
  • 現在の法律に合っているかどうか

それぞれのポイントについて紹介してきますので、ぜひ参考にしてみてください。

自社の事業実態に合っているかどうか

就業規則のひな形は、企業によって業務内容や業種などが異なるので、自社の事業実態に合っているかどうか確認をしましょう。

具体的には、就業規則のひな形を確認して、自社に合っているのか精査し、少しでも違和感を感じたら内容の改良を行う必要があります。

しかし、就業規則には法令上削除してはいけない条文があるので、就業規則のひな形を改良する際には、ある程度知識を持っている方が行うようにしましょう。

社内に専門的な知識を持っている方がいない場合には、弁護士や社労士などの専門家に依頼するのをおすすめします。

現在の法律に合っているかどうか

就業規則のひな形を活用する際には、現在の法律に合っているかどうかしっかりと確認しましょう。

労働に関係している法令は、毎年のように法改正が行われているので、古い就業規則のひな形を使用してしまうと、法令違反になってしまうリスクがあるので注意が必要です。

就業規則のひな形のバージョンを確認するのはもちろん、法改正に対応できるように内容を変更しましょう。

就業規則のひな形を活用する際の注意点

就業規則のひな形を活用する際の注意点を把握しておくと、企業内のトラブルを予防することにもつながります。

具体的に就業規則のひな形を活用する際の注意点については、以下が挙げられます。

  • 適用範囲
  • パートの有給休暇
  • 休職に関わる問題
  • 副業の規定
  • 懲戒の規定方法

それぞれの注意点について解説していきます。

適用範囲

就業規則のひな形を活用する際には、就業規則の適用範囲を事前に定める必要があります。

実際に、厚生労働省が作成している就業規則のひな形では、正規社員や非正規社員の適用範囲が明確に区別されていないので、どの範囲で適用されるのか不明確な状態になっています。

例として「就業規則は全社員に適用する」や「就業規則は正社員のみに適用する」など定めていきます。

雇用形態によって就業規則を作成する場合には、現状の業務状態を把握して、事業に最適な適用範囲を定めるようにしましょう。

パートの有給休暇

就業規則のひな形には、パートの有給休暇について記述がされていません。

企業によっては、パートなどの短時間労働者に対して、有給休暇を適用している場合があるので、有給休暇の申請期限や申請方法などの記述を行う必要があります。

具体的に、労働基準法第39条3項にて以下のように定められています。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

引用元:労働基準法第39条

また、正社員の就業規則とは別に、パートなどの短時間労働者の就業規則を作成する必要があるので注意が必要です。

休職に関わる問題

就業規則のひな形は、休職に関わる規定があいまいになっているので、注意が必要です。

休職理由が「欠勤が一定期間以上続く」と定められていても、一定期間が明確に決められていない場合があり、休職前の欠勤期間などをなるべく具体的に定める必要があります。

休職期間と休職事由の規定方法については、企業側のリスクマネジメントの観点から考えて規定を行い、従業員が正しく理解できる内容を記載することが重要になります。

企業側と従業員側の双方にとってメリットがある休職に関わる就業規則の規定を行いましょう。

副業の規定

副業の規定についても、他の規定内容と同様に、就業規則のひな形では曖昧な内容になっているので注意が必要です。

副業についてのルールは企業ごとに異なるため、明確に定める必要があります。

副業を積極的に採用していると、従業員のイノベーションの創造やモチベーションアップなどのメリットがあるので、積極的に副業を採用している企業も多くあります。

また、副業に対する考え方を従業員に周知徹底させることも重要になります。

懲戒の規定方法

就業規則のひな形では、懲戒の規定方法について具体的に定められていないものが多くあります。

懲戒方法が曖昧になっていると、実際に問題を起こしている従業員を懲戒に処したい際に、適切に処分ができなくなるリスクがあるので、あらかじめ注意が必要です。

具体的に懲戒の規定方法については、できる限り具体的に懲戒の事由を記載する必要があります。

厚生労働省が作成している懲戒に関わるモデル就業規則などを参考にすれば、トラブルに対して速やかに対処が可能です。

就業規則のひな形の活用事例

就業規則のひな形の活用事例を把握しておくと、就業規則のひな形が自社に合っているかどうか把握することにもつながります。

具体的に就業規則のひな形の活用事例については、以下が挙げられます。

  • ①飲食店
  • ②助成金

それぞれの活用事例について紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

①飲食店

飲食店は、店舗ごとに営業時間や出勤日数が大きく異なるので、就業規則の規定を定めるのが難しいですが、就業規則のひな形を活用すれば簡単に作成が可能です。

労働時間が変動的でも、できるだけ拘束時間を減らして、人件費削減などの効果も期待できます。

出勤日数については、シフト制を採用し、1週間で40時間の勤務時間に抑えるなどを定めると、従業員とのトラブルを防ぐことにもつながります。

就業規則のひな形は、幅広い種類があるので、業務内容に合っている就業規則のひな形を利用するのをおすすめします。

②助成金

就業規則のひな形を活用すれば、助成金を受けやすくなるメリットが挙げられます。

非正規社員のレベルアップを図る「キャリアアップ助成金」を受けたい際には、決められている条文が記載されている就業規則と支給申請書が必要になります。

助成金を受け取る目的で就業規則を作成する際には、一から調べて作成するのは手間がかかってしまうので、就業規則のひな形を活用すれば、効率よく助成金の受け取ることにもつながります。

また、助成金の申請には決められた期間があるので、余裕を持って就業規則を作成しましょう。

就業規則のひな形の失敗事例

具体的に就業規則のひな形の失敗事例については、以下が挙げられます。

  • ①建設業
  • ②小規模事業所

それぞれの失敗事例について紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

①建設業

建設業などの業界自体が特殊な場合は、一般的に使用される就業規則のひな形を使用してしまうとトラブルのリスクが高くなります。

建築業は、労災事故が発生しやすくなるので、健康管理や安全管理についてできる限り具体的に規定する必要があります。

規定が曖昧になってしまうと、会社自体の安全配慮義務違反が問われてしまい、損害賠償請求されてしまう可能性もあります。

また、免許や資格の有無によって、業務内容が変化するので、免許や資格に対する業務範囲も記載しておくと安心です。

②小規模事業所

小規模事業所は、大手企業とは異なり、人手不足はもちろん忙しさなどによって、一人ひとりの業務範囲が広いので、就業規則のひな形をそのまま利用してしまうと、後々トラブルに発展してしまうリスクがあります。

残業代の計算方法が曖昧になっているせいで、従業員側と企業側との認識の違いがあり、訴訟問題になってしまうケースも挙げられます。

小規模事業所は、アルバイトやパート、契約社員などを採用している傾向があるので、就業規則で従業員の区分の定義を明確にする必要があります。

就業規則のひな形を活用しよう!

今回は、就業規則のひな形について知りたい方に向けて、就業規則のひな形を活用する際のポイントや就業規則のひな形を活用する際の注意点を紹介しました。

就業規則のひな形を活用する際のポイントについては、以下が挙げられます。

  • 自社の事業実態に合っているかどうか
  • 現在の法律に合っているかどうか

また、就業規則のひな形を活用する際の注意点を把握しておくことで、企業内のトラブルを予防できます。

今回の記事を参考に、就業規則のひな形を活用してみてください。

また、就業規則と合わせて企業が考えておかなければいけないのが給与計算です。

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