今年度より、賃金5%アップルールにおいて改正された点がありますので、ご案内いたします。
※「令和2年4月1日以降の転換」から、適用されます。
転換後の「賃金5%アップ要件」を満たすためには、
①月額給与で5%アップさせる
②賞与も含めて5%アップさせる
という2つの方法があります。
まずは、①月額給与5%アップさせる の方法をとった場合について考えてみます。
「算定に入れられる給与項目」と「算定に入れられない給与項目」
まず原則として、算定に入れられる給与項目は、
「毎月、定額で支給されることが保証される項目」
となります。
代表的には「基本給」ですし、その他、様々な「手当」のうち、
「役職手当」「資格手当」など、一定額を継続して支給することが前提の手当は、算定に含めることができます。
一方これに対して、
「毎月変動することが前提となる手当」
「実費補填の意味合いで支給される手当」
は、算定に入れることができません。
前者で代表的なものは、「歩合給」「皆勤手当」など。
後者の代表例としては、「通勤手当」「住宅手当」などです。
また、「残業手当」は、毎月の変動があるため、対象外となり、
定額支給される「固定残業手当」も算定対象外となりますのでご注意ください。
「諸手当」を含めて、賃金5%アップする場合の注意点【今年度改正】
ここから、今年度の改正点として非常に重要な点となります。
昨年度までは、上記の「算定に含めることができる手当」については、
賃金台帳等の支払い実績を根拠として、算定に加えていましたが、
今年度からは支払い実績のみではダメで、
「就業規則(賃金規程)」の中で、当該手当の支給基準・支給額を明記しておくこと
が、新たに求められます。
上記の例でいえば、数字上は5%アップをクリアしていますが、
就業規則(賃金規程)に「役職手当」「資格手当」の規定が無いと、算定に入れられない
(結果、5%アップを満たさないので助成金不支給)
ということになってしまいます。
「それなら、諸手当はあえて算定に入れない」
という方法も考えられますが、
ここで要注意なのが、
転換後の期間は、就業規則に規定がなければ算入できないが、
転換前の期間は、規定が無くても算定に入れないといけない
というルールも追加されています。
ですので、上記の例でいえば、
【転換前6か月】(基本給180,000円+資格手当5,000円)×6か月=1,110,000円
【転換後6か月】(基本給180,000円+資格手当0円+役職手当0円)×6か月=1,080,000円
となり、逆に数字が下がってしまう、という算定結果になります。
次に、 ②賞与も含めて5%アップさせる 場合を考えます。
賞与の算定ルールの変更点【今年度】
賞与の算定についての原則ルールは、
キャリアアップ助成金(正社員化コース)5%アップ要件をクリアする方法
を参照ください。
就業規則または雇用契約書(労働条件通知書)において、
転換前:「賞与無し」
転換後:「賞与有り」
というように、明確に処遇条件が区別されていないと、転換後の賞与を算定に入れることができません。
上記の場合で、「転換前の賞与」が就業規則等において「対象外(支給無し)」の扱いなら、算定に含めなくてよい、
というのが、昨年度までの扱いでした。
で、ここからが今年度の改定点ですが、
就業規則等の規定では賞与対象外であっても、転換前6か月間に、実績として賞与が支給されていれば、その賞与は算定に入れなければならない
という扱いに変わります。
つまり、転換前の算定に含めることで、「5%アップの基準・ハードルが上がる」ということになります。
規定上は対象外だけど、経営者が温情的に非正規社員にも賞与や寸志を支給される場合も多いですので、注意が必要です。
以上、いかがでしょうか。
年々ちょっとずつ助成金支給のハードルを上げてきてますので、確かになるほどな~、という点をついてはきていますね。
ただ、ここまで要件が入り組んでくると、正直申し上げて、素人が申請するには手が追えないレベルにもなってきています。
そこで、助成金専門社労士に任せよう、ということでしたら、当方サポートメニューの
をご検討ください。
また、特に5%アップ要件のクリアには、毎月の給与計算による昇給管理や、賞与支給額の決定が、最重要テーマとなってきます。
この点については、私どもで毎月の給与計算までサポートさせていただかないと、細かな管理ができませんので、
もご用命いただければ、キャリアアップ助成金の受給確率も上がります。
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