雇用関連助成金を申請するには、会社として当該助成金申請の対象(要件)となる取り組み(制度)を実施することを、従業員に対して周知しなければなりません。
そして、その周知を行うために実施するのが「就業規則への明記(改定)」であり、周知を行ったことのエビデンスとなるのが「労働基準監督署への就業規則届出」となります。
◆届出が必要な事業所と、その事業所単位とは?
改定(作成)した就業規則は、従業員が10名以上の事業所においては、必ず管轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。これは助成金申請するしないに関わらない一般的なルールです。前に述べた通り、助成金を受給するには「法令順守している会社」であることが条件となり、多くの助成金で就業規則の届け出は重要な審査要件とされています。
ここで注意が必要なのは、「事業所」という単位は「法人」単位ではなく、従業員が勤務している事業所の全てが対象とされる点です。例えば、A事業所で15名、B事業所でも15名雇用している場合は、A,Bそれぞれの事業所において就業規則の届け出が必要です。よく、本社だけで就業規則の届け出を行い、他の10名以上の事業所の届け出をされていない会社が見受けられますが、それでは会社の全従業員に周知がされたとはみなされません。
◆従業員10名未満の事業所はどうすればいい?
ちなみに、従業員が10名に満たない事業所については就業規則を届け出る必要はありませんが、当該助成金の要件に該当する規定を明記した就業規則を、事業所内で周知することは必要です。その場合は、周知した事実を証する「申立書」を作成し、そこに従業員全員に署名・押印していただく必要があります。
もちろん、10名未満の事業所についても労基署への届け出を行い、周知のエビデンスとすることも可能です。尚、労基署への届け出の際には、「意見書」に従業員代表1名の署名・押印をもらう必要があります。申立書を作成するか、届け出を行うかは会社でご判断ください。