勤務間インターバル助成金を解説!申請の流れから活用事例まで

佐藤東 監修者
社会保険労務士法人はた楽/株式会社はた楽
CEO / Founder
佐藤 東

大阪市立大学(現:大阪公立大学)法学部在学中に、社会保険労務士資格を取得。
株式会社新経営サービスにて、人事制度構築コンサルティングに従事。株式会社アントレプレナーファクトリー執行役員を経て、株式会社はた楽(人事コンサルティング&介護事業)、社会保険労務士法人はた楽を設立。労務DX&給与労務BPOを強みに、全国でサポートを展開中。

勤務間インターバル助成金で働き方改革を加速!従業員の健康と生産性向上へ

「従業員の残業が減らない」「健康管理を強化したいが、コストが気になる」といった悩みを抱える人事労務担当者の方は多いのではないでしょうか。働き方改革が進む中、注目を集めているのが「勤務間インターバル制度」です。

この制度の導入を支援するために国が用意しているのが、「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」です。本記事では、この助成金の概要から申請要件、具体的な活用事例までを分かりやすく解説します。

勤務間インターバル助成金(働き方改革推進支援助成金)とは

勤務間インターバル助成金(働き方改革推進支援助成金)とは

正式名称は「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」です。この制度は、中小企業が勤務間インターバル制度を導入・定着させるためにかかる費用の一部を助成するものです。

助成金の目的と勤務間インターバル制度の概要

この助成金の目的は、過重労働の防止と従業員の健康確保にあります。「勤務間インターバル制度」とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までに一定時間以上の「休息時間(インターバル)」を設ける仕組みです。

例えば、インターバルを11時間に設定した場合、深夜23時に退社した従業員は、翌朝10時まで出社できません。2019年4月から制度の導入が企業の努力義務となっており、この助成金は企業の取り組みを後押しするために設けられています。

支給対象となる中小企業事業主の条件

助成金を受給するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。特に「月45時間を超える残業の実態」が原則として求められる点にご注意ください。

  • 労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業主であること
  • 全ての対象事業場において、36協定が締結・届出されていること
  • 原則として、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること(※)
  • 年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること

※「月45時間超」の実態がない場合でも、勤務形態の都合で9時間以上のインターバル確保が困難な事情がある場合などは、対象となる可能性があります。

助成額はいくら?上限額と助成率をわかりやすく解説

助成額は、対象経費の合計額に助成率(原則3/4)を乗じた額です。ただし、設定する成果目標に応じて上限額が設定されており、賃金の引き上げを行うことで上限額が加算されます。

成果目標(新規導入)上限額
9時間以上11時間未満100万円
11時間以上120万円

これに加え、対象労働者の賃金を3%〜5%以上引き上げた場合、引き上げ人数や企業規模(30人以下かどうか)に応じて、最大で数百万円単位の加算が行われます。詳細は最新の公募要領をご確認ください。

参考: 厚生労働省: 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

助成金の対象となる取り組み一覧|DX化で業務効率アップ

助成金の対象となる取り組み一覧|DX化で業務効率アップ

助成金の対象となるのは、勤務間インターバル制度の導入や運用に必要な経費です。単なる制度導入だけでなく、業務効率化やDX化につながる投資も対象に含まれます。

労務管理用ソフトウェア・機器の導入・更新

正確な労働時間を把握するための勤怠管理システムや、給与計算ソフトの導入・更新費用が対象です。クラウド型のサービスも対象となり、初期費用や一定期間の利用料も含まれます。

外部専門家によるコンサルティングの活用

社会保険労務士や中小企業診断士といった専門家にコンサルティングを依頼する費用も対象です。現状の労働時間分析、業務プロセスの見直し、制度設計に関するアドバイスなどを受けることができます。

就業規則・労使協定などの作成・変更

勤務間インターバル制度を導入するには、就業規則の改定が不可欠です。この規定整備にかかる費用(社労士への委託費など)も助成の対象となります。

その他対象となる取り組み

労務管理担当者や従業員に対する研修費用、人材確保に向けた取り組み(求人広告費など)も対象です。また、一定の要件を満たせば、業務効率を向上させる設備・機器(自動化設備など)の導入も認められます。

勤務間インターバル助成金の申請から受給までの流れ

勤務間インターバル助成金の申請から受給までの流れ

助成金を受給するためには、定められた手順に沿って手続きを進める必要があります。特に「交付決定前」に発注や契約を行わないよう注意が必要です。

STEP1:事業実施計画の策定・申請

まず、どのような取り組みを行い、どのような成果目標(インターバル時間の導入など)を目指すかを定めた「事業実施計画」を作成します。この計画書を管轄の労働局に提出し、交付申請を行います。

STEP2:交付決定後の取り組み実施

労働局から「交付決定通知書」が届いたら、計画に基づいた取り組み(機器の購入、コンサルティングの実施など)を開始します。必ず交付決定日以降に契約・発注を行ってください。

STEP3:支給申請

事業実施期間内に取り組みを完了させ、費用の支払いを済ませます。その後、成果目標の達成状況(就業規則の改定など)を報告する「支給申請書」を作成し、労働局へ提出します。

申請期限と注意すべきポイント

令和7年度(2025年度)の交付申請期限は、2025年11月28日(金)までとなる見込みです。ただし、国の予算額に達した場合は期限前でも受付が締め切られるため、早めの申請が推奨されます。

勤務間インターバル制度導入のメリットと課題

制度導入は企業にとって大きなメリットをもたらしますが、同時に運用の工夫も求められます。

企業が得られる3つのメリット(人材定着・生産性向上・企業イメージUP)

従業員の健康維持は、勤務間インターバル制度を導入する重要なメリットの一つであり、離職率の低下にもつながります。また、十分な休息は従業員の集中力を高め、生産性の向上に寄与します。

さらに、「従業員を大切にする企業」というブランドイメージが向上し、採用活動においても有利に働くでしょう。

導入前に知っておきたい注意点と対策

始業時間の後ろ倒しなどにより、業務時間が減少する可能性があります。単に制度を導入するだけでなく、業務の優先順位付けや無駄の削減など、働き方そのものの見直しをあわせて行うことが重要です。

勤務間インターバル助成金に関するよくある質問

勤務間インターバル助成金に関するよくある質問

最後に、申請を検討されている方からよく寄せられる質問にお答えします。

制度を導入しなくても罰則はありませんか?

現時点では、勤務間インターバル制度の導入は「努力義務」であり、導入しなくても罰則はありません。しかし、従業員の健康管理や安全配慮義務の観点から、導入を進める企業が増えています。

パソコンやタブレットの購入も対象になりますか?

原則として、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの汎用性が高い機器は助成金の対象外です。あくまで労務管理専用の機器やソフトウェアなどが対象となります。

交付決定前に発注した設備は対象外ですか?

はい、対象外です。交付決定通知書を受け取る前に契約・発注・支払いを行った経費は一切認められません。必ず交付決定を待ってから手続きを進めてください。

助成金を活用した勤務間インターバル制度導入で企業の成長を支援します

事例で学ぶ!助成金を活用した勤務間インターバル制度の導入成功例

勤務間インターバル助成金は、従業員の健康を守りながら、企業の生産性を高めるための強力な支援ツールです。要件や申請フローを正しく理解し、計画的に活用することで、持続可能な組織づくりを実現しましょう。

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