パートの社会保険の加入条件について知りたいと悩んでいませんか?
この記事では「パートの社会保険の加入条件」について紹介していきます。
結論、パートの社会保険の加入条件は、週の所定労働時間が20時間以上だったり雇用期間や月額賃金などのさまざまな条件が挙げられます。
他にも「社会保険に加入するメリット・デメリット」や「社会保険の適用拡大が与える企業への影響」についても解説します。
ぜひ、この記事を参考に、パートの社会保険の加入条件について理解を深めてみてください。
また「パートの勤務時間」について知りたい方は、こちらにて解説をおこなっておりますので、ぜひ確認してみてください。
目次
パートの社会保険の加入条件
パートの社会保険の加入条件については、以下が挙げられます。
- 週の所定労働時間
- 月額賃金
- 雇用期間
- 学生ではないこと
- 従業員数
それぞれの項目について紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
週の所定労働時間
パートの社会保険の加入条件の1つとして、週の所定労働時間が20時間以上になると、社会保険加入になります。
そもそも、所定労働時間とは、労働契約として定められている労働時間を指しますが、残業や休日出勤などの時間外労働は含まれません。
実際の労働時間が2ヶ月連続で20時間以上で、その状況が今後も見込まれるケースには、3ヶ月目の初日から社会保険加入の条件を満たしたことになります。
月額賃金
パートが社会保険へ加入する賃金条件として、月額8万8,000円以上が必要になります。
月額賃金とは、1ヶ月あたりの給与のことで、基本給と諸手当も含まれますが、以下のものは除外して良いとされています。
- 通勤手当
- 家族手当
- 通勤手当
- 住宅手当
- 退職手当
- 出産手当
- 別居手当
また、賞与などの1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金についても月額賃金には算入されません。
雇用期間
雇用期間については、一般的な社員と同じように、2ヶ月を超える雇用が見込まれていることが社会保険に加入する条件になります。
従来であれば、雇用期間が1年を超えるのが見込まれるのが条件として定められていましたが、2022年10月から雇用期間の見直しがされています。
契約期間が2ヶ月以内であっても、雇用契約書などに契約が更新される内容が記載されているケースであれば、社会保険に加入する必要があります。
学生ではないこと
基本的に学生は社会保険加入の対象外になります。
ただし、内定者や休学中、夜間学生など継続して勤務が見込まれる学生は、社会保険加入の対象になります。
パートやアルバイトで年間130万円以上の収入を得てしまうと扶養に入れなくなり、会社の社会保険に加入しなければいけなくなるので、あらかじめ注意が必要と言えるでしょう。
従業員数
パートの社会保険の加入条件として、従業員数が101人から500人の企業で働くパートやアルバイトなどの短時間労働者についても、社会保険の適用対象になります。
2022年10月以前では501人以上の従業員数が必要でしたが、現在では社会保険への加入がしやすくなったのも事実です。
また、2024年10月以降については、51〜100人以上の従業員数でも、社会保険の加入が可能になります。
社会保険に加入するメリット
社会保険に加入するメリットについては、主に以下が挙げられます。
- 充実した保険制度が利用できる
- 年金額が増える
- 保険料を会社と折半できる
- 年収上限の制限がない
それぞれのメリットについて紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
充実した保険制度が利用できる
社会保険に加入するメリットとして、条件を満たしていれば充実した保険制度が利用できます。
例として、病気や怪我が原因で3日間連続で仕事を休んでしまう場合、4日目以降は傷病手当金の受給が可能になります。
その他にも、出産育児一時金や出産手当金などの保険制度が利用できます。
しかし、保険制度を利用するには、定められている要件を満たすのが必要になるので、事前に確認をしておきましょう。
年金額が増える
社会保険に加入すると、基礎年金の他にも、厚生年金も受け取れるので、将来もらえる年金額が増えるメリットが挙げられます。
厚生年金をもらえるケースについては、以下が挙げられます。
加入年数 | 保険料 | もらえる年金額 |
---|---|---|
1年間 | 月額8,100円(年間97,200円) | 月額450円 |
20年間 | 月額8,100円(年間97,200円) | 月額9000円 |
40年間 | 月額8,100円(年間97,200円) | 月額18,000円 |
上記のように、在職中に会社が支払った厚生年金の保険料に応じて、もらえる年金額に上乗せされるので、加入年数が長くなればなるほど、将来もらえる年金額が高くなります。
保険料を会社と折半できる
社会保険に加入すると、本来であれば全額支払うべきの保険料を会社と折半できるメリットが挙げられます。
具体的には、健康保険と厚生年金保険料は、雇用者側と労働者側が折半して支払いを行います。
個人事業主や自営業などの場合は、国民年金と国民健康保険は全て自分で支払う必要がありますが、社会保険に加入した方が負担額が少なくなる特徴が挙げられます。
年収上限の制限がない
社会保険に加入したくない場合は、加入条件を満たさないように年収上限を気にしながら働く必要がありますが、最初から社会保険に加入するつもりであれば、年収上限の制限はありません。
加入する条件については、年収以外にも1週間で働く時間や契約期間などが挙げられます。
年収上限の制限がなければ、家庭の所得が増えるのはもちろん、老後の年金額も増えるのでメリットが大きいと言えるでしょう。
社会保険に加入するデメリット
具体的に社会保険に加入するデメリットについては、以下が挙げられます。
- 手取り額が減ってしまう
- 配偶者手当が受けられなくなる
- 一定以上の金額を稼がないと負担が増える
それぞれのデメリットについて紹介してきますので、ぜひ参考にしてみてください。
手取り額が減ってしまう
社会保険に加入してしまうと、給料額から社会保険料が差し引かれてしまうので、手取り額が減ってしまうデメリットが挙げられます。
具体的には、厚生年金は約18%の金額を会社側と折半して支払い、健康保険料については約10%になるので、毎月の給料から約14%が自己負担額として差し引かれてしまいます。
手取り額を減らしたくないという方は、毎月の給与を88,000円未満にして働く必要があるので、会社側と相談しながら働く時間の調整が必要になります。
しかし、社会保険に加入すると老後の年金額が増加したり、病気や怪我の保障が受けられるメリットもあるので、トータルで見て社会保険に加入した方が良いかどうか判断をするようにしましょう。
配偶者手当が受けられなくなる
社会保険に加入すると、配偶者手当が受けられなくなるデメリットが挙げられます。
そもそも配偶者手当とは、配偶者がいる従業員に対して支給される手当のことを指し、企業によっては「家族手当」や「扶養手当」などと呼ばれている場合があります。
配偶者手当は、会社独自の制度になり、手当を受ける条件が異なる場合があるので、事前に確認をしておきましょう。
また、配偶者手当が受けられなくなったことで、家計に大きな悪影響を与えてしまうリスクもあるので注意が必要と言えるでしょう。
一定以上の金額を稼がないと収入が減ってしまう
社会保険は、毎月の給与から社会保険料が差し引かれてしまうので、一定以上の金額を稼がないと負担が減ってしまうデメリットが挙げられます。
社会保険に加入する条件として、年収106万円以上が条件になりますが、年収が106万円近辺だった場合は、そこから社会保険が引かれてしまうので、収入が減ってしまいます。
手取りが減ってしまっても、厚生年金を受け取ったり、充実した保険を受けられるなどのメリットがありますが、収入を減らしたくないという方は、毎月のシフトを調整する必要があります。
社会保険に加入したくない場合の対策
社会保険に加入しなくない場合の対策については、以下が挙げられます。
- 労働時間を調整する
- 短期で働く
- 非該当の事業所で働く
それぞれの対策について紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
労働時間を調整する
社会保険に加入したくない場合は、月収が8万8,000円以上にならないように、労働時間の調整が必要になります。
労働時間が20時間以上でも、月収が8万8,000円以内に収まっていれば、社会保険に加入されることはありません。
具体的に労働時間を調整する際には、事前に会社側に社会保険に加入したくない旨を伝えておくようにしましょう。
短期で働く
社会保険に加入したくなければ、2ヶ月未満の短期間で働くようにしましょう。
雇用期間が2ヶ月未満であれば、月収が8万8,000円以上でも社会保険に加入する必要はありません。
このように、短期間で高月収で働きたい方は、社会保険に加入する必要はありません。
非該当の事業所で働く
社会保険に加入したくなければ、非該当の事務所で働くようにしましょう。
具体的に非該当の事務所については、従業員数が100人以下の事務所が対象になります。
しかし、2026年10月より社会保険適用拡大によって、従業員数が51人以上に変更されてしまうので、これからも社会保険に加入せず長期的に働きたいと思っている方は要注意です。
社会保険の適用拡大が与える影響
社会保険の提供拡大のスケジュールについては、以下のとおりです。
日程 | 社会保険の適用範囲 |
---|---|
2016年10月~ | ・従業員数500人位以上 ・週の所定労働時間20時間以上 ・雇用期間が1年以上見込まれる ・賃金月額が8万8,000円以上(年収106万円以上) ・学生でないこと |
2022年10月~ | ・従業員数101人位以上 ・週の所定労働時間20時間以上 ・雇用期間が2ヶ月以上見込まれる ・賃金月額が8万8,000円以上(年収106万円以上) ・学生でないこと |
2024年10月~ | ・従業員数51人位以上 ・週の所定労働時間20時間以上 ・雇用期間が2ヶ月以上見込まれる ・賃金月額が8万8,000円以上(年収106万円以上) ・学生でないこと |
また、社会保険の適用拡大に与える影響については、企業への影響と従業員への影響が考えられます。
では、それぞれの影響について紹介していきます。
企業への影響
社会保険の適用拡大が企業に与える影響として、対外的なイメージアップにつながるので、人材確保などのメリットが挙げられます。
実際に、パートやアルバイトなど短時間労働者は、安定した保証を受けられる社会保険に加入したいと思っている方も多い傾向があります。
また、社会保険の対象外で働いている従業員が、社会保険適用になると、モチベーションアップへとつながり、事業拡大にも効果的でしょう。
しかし、従業員の社会保険加入数が多くなってしまうと、企業側の社会保険料の負担額が大きくなってしまうので、企業側は人件費の見直しが必要になります。
従業員への影響
社会保険の適用拡大が従業員に与える影響として、短時間労働でも厚生年金や健康保険などの充実した保証が受けられるメリットが挙げられます。
病気や怪我によって働けない場合には、一定額の金額を受け取れたり、厚生年金によって将来受け取れる年金額が増えたりなど、より安定した生活を送れます。
配偶者の扶養の範囲内で働いている従業員は、扶養の基準額にとらわれる必要がなくなるので、自分のペースで働けるというメリットも挙げられます。
しかし、企業側と同様に、社会保険料の負担が多くなってしまうので、給与の手取りが少なくなってしまうので、家計に悪影響を与えてしまうと言えるでしょう。
社会保険について理解を深めよう!
今回は、パートの社会保険の加入条件について知りたい方に向けて、社会保険に加入するメリット・デメリットや社会保険の適用拡大が与える企業への影響を紹介しました。
パートの社会保険の加入条件については、以下が挙げられます。
- 週の所定労働時間
- 月額賃金
- 雇用期間
- 学生ではないこと
- 従業員数
今回の記事を参考に、社会保険について理解を深めてみてください。
また、パートの保険以外に考えておかなければいけないのが、給与計算です。
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