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算定基礎届とは?算定基礎届の対象者から注意点を徹底解説

算定基礎届について知りたいと悩んでいませんか?

この記事では「算定基礎届とは?」について紹介していきます。

結論、算定基礎届とは、従業員の標準報酬月額を1年に1度見直す手続きを指します。

他にも「算定基礎届の対象者」や「ケース別の算定基礎届の注意点」についても解説します。

ぜひこの記事を参考に、算定基礎届について理解を深めてみてください。

また「標準報酬月額に通勤手当は含まれるのか」について知りたい方は、こちらにて解説をおこなっておりますので、ぜひ確認してみてください。

目次

算定基礎届とは?

算定基礎届とは、1年に1度、従業員の標準報酬月額を見直す手続きを指します。

そもそも、標準報酬月額とは、社会保険料の計算をしやすくする目的で、従業員の給与などの報酬をひと月分に一定の範囲ごとに区分したものです。

具体的に、算定基礎届は4月から6月の従業員の報酬金額を元にして、その年の9月から1年間の社会保険料の基礎となる標準報酬月額を決定する目的で、日本年金機構に提出します。

また、算定基礎届の手続きを定時決定とし、標準報酬月額と従業員の報酬に差が生じないように1年に1度見直しを行います。

算定基礎届を提出する期限については、毎年7月10日までに日本年金機構に提出する必要があります。

算定基礎届の対象者

みなし 残業 45 時間

算定基礎届の対象者については、原則として、雇用している70歳以上の被用者や被保険者全員が対象になります。

しかし、雇用されている期間などの条件によっては、算定基礎届の対象外になってしまうケースもあります。

以下にて、算定基礎届の対象人になる人と対象にならない人の特徴について紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

算定基礎届の対象になる人

算定基礎届の対象になる人は、在籍している被保険者の従業員が対象になります。

標準報酬月額は、事業主が4月から6月の3ヶ月間に従業員に支払った平均報酬額によって決定されるので、7月1日の時点で在籍していることが条件となります。

70歳以上の雇用されている被保険者は、厚生年金における被保険者資格を失ってしまいますが、算定基礎届の対象になるので、あらかじめ注意が必要です。

また、健康保険については、75歳未満であれば、被保険者の資格が適用されます。

算定基礎届の対象にならない人

従業員退職 手続き

算定基礎届の対象にならない人については、以下の条件が挙げられます。

  • 1年間で6月30日以前に退職した人
  • 1年間で8月もしくは9月に月額変更届の提出を申し出た人
  • 1年間で7月改定の月額変更届を提出する人
  • 1年間で6月1日以降7月1日までに雇われた人

上記に記載されている「月額変更届」とは、標準報酬月額の改定を行う際に、提出する届出を指します。

算定基礎届の対象になる報酬

算定基礎届の対象になる報酬については、主に以下が挙げられます。

種類内容
金銭による支給基本給(月給、週休、日給など)、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、扶養手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金、年4回以上の賞与 など
現物による支給大入袋、見舞金、解雇予告手当、退職手当、出張旅費、交際費、慶弔費、傷病手当金、労災保険の休業補償給付、年3回以下の賞与など

上記のように、現物による支給についても、算定基礎届の対象になります。

また、算定基礎届で報酬として扱われないものについては、退職届や出張旅費、交際費などが挙げられます。

標準月額報酬の算出方法

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標準月額報酬の算出方法について把握しておくと、自分自身の標準月額報酬を把握できます。

具体的に標準月額報酬の算出方法については、以下のとおりです。

  1. 4月~6月に支払った給与や賞与などを確認する
  2. 各月の支払基礎日数を調べる
  3. 3ヶ月分の報酬平均額を計算する
  4. 自社を管轄する都道府県の保険料額表をから平均額を探す
  5. 標準報酬の「等級」と「月額」をチェックする

上記の中でもっとも重要になるのは、4月~6月に支払った報酬を確認するのと、各月の支払基礎日数が間違いないかしっかりと確認をしましょう。

また、4つ目に記載されている自社を管轄する都道府県の保険料額表の確認については、各都道府県の「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」からチェックをしましょう。

算定基礎届の書き方

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算定基礎届の書き方について把握しておくと、スムーズに算定基礎届を提出することにもつながります。

具体的な算定基礎届の書き方については、以下が挙げられます。

  • 支払基礎日数を記入
  • 現物支給額と通貨の合計を記入
  • 統計額の記入
  • 平均額を記入

それぞれの項目について紹介していきますので、ぜひ確認してみてください。

支払基礎日数を記入

支払基礎日数とは、4月~6月までの報酬の支払い対象になった日数を指します。

基本給が月給の場合については、対象月の日数を記入します。

月の途中で締め日がある場合については、締日の翌日から1ヶ月間の日数になるので、あらかじめ注意が必要です。

また、欠勤している日があるケースについては、欠勤控除として所定労働日数から欠勤日数を引いて記入しましょう。

現物支給額と通貨の合計を記入

算定基礎届に記載されている「通過」「現物」「合計」の欄には、現物支給された報酬と支払基礎日数に該当する通過の合計を記入します。

支給された現物や自社製品などについては、原則として時価に換算して計算を行う必要があります。

住宅や食事の場合は、日本年金機構の「全国現物給与価額一覧表」に基づいて1ヶ月換算に修正した金額を記入していきます。

しかし、その年や都道府県によっても金額が異なる場合があるので、記入間違いが無いようにしましょう。

統計額の記入

算定基礎届に記載されている「統計学」の欄に、算定対処月の対象になる全ての現物と通過の合計額を記入していきます。

そもそも算定対象月とは、支払基礎日数が17日以上の月を指します。

例として、6月の支払基礎日数が15日だった場合は、算定対象月になるのは4月と5月になり、6月文の報酬は計算に含まれないので、4月と5月の現物支給額と通過の合計を記入していきます。

平均額を記入

算定基礎届に記載する平均額については、統計額を算定対象月数で割った金額を記入していきます。

平均額で少数が出てしまった場合については、小数点以下は全て切り捨てて記入するようにします。

算定基礎届とは違う特徴を持っている月額変更届とは?

算定基礎届は、毎年7月に決定された標準報酬月額は、次の定時改定まで適用されます。

しかし、次の定時改定までに昇格や昇給などによって報酬が大きく変わってしまった場合には、適用されている標準報酬月額と実際の報酬月額が合っていないケースも少なくありません。

そのような場合には、次の定時改定を待たずに標準報酬月額を改定できる「随時改定」を行い、月額変更届の提出を行います。

月額変更届を提出することで、報酬額との差がなくなり、損をしてしまうリスクを減らせられます。

算定基礎届の提出方法

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算定基礎届の提出医方法に関わる項目については、以下が挙げられます。

項目内容
提出先・事務センターまたは管轄の年金事務所
※事務センターの所在地は「全国の事務センター一覧」参照
提出方法以下のいずれかで提出する
・郵送
・管轄の年金事務所への持参
・電子媒体(CD、DVDなど)
・電子申請
※郵送の場合は算定基礎届送付時に同封されている返信用封筒を使用
提出期間・毎年7月1日から7月10日まで
※10日が土日の場合は翌営業日
提出書類①
(届出用紙の場合)
・被保険者報酬月額算定基礎届
・被保険者報酬月額変更届(該当者がいる場合)
※2022年より被保険者報酬月額算定基礎総括表の提出は不要
提出書類②
(電子媒体の場合)
・作成したCDもしくはDVD
(表面に事業所名、提出元ID、媒体通番を油性ペンで記入)
・電子媒体届総括表(用紙)
・被保険者報酬月額変更届(該当者がいる場合)
提出書類③
(電子申請の場合)
・被保険者報酬月額算定基礎届(CSVファイル)
・被保険者報酬月額変更届(該当者がいる場合)
引用元:日本年金機構「算定基礎届乗の記入・提出ガイドブック」

算定基礎届の提出期限は、原則として7月1日から7月10日と定められており、協会けんぽに加入している場合には管轄の年金事務所に提出が必要になります。

健康組合保険に加入している場合については、厚生年金部分を年金事務所へ提出し、健康保険分は健康保険組合へ提出を行います。

しかし、健康保険組合の提出期限は、地域や年によって異なる可能性があるので、事前に確認をしておきましょう。

定められている期限までに申告書の提出がされていないと、50万円以下の罰金や6ヶ月以下の懲役を科せられる可能性があるので注意が必要です。

ケース別の算定基礎届の注意点

ケース別の算定基礎届の注意点を把握しておけば、トラブルを予防することにもつながります。

具体的にケース別の算定基礎届の注意点ついては、以下が挙げられます。

  • 給与が翌月払いのケース
  • 休業手当が支給されたケース
  • 4~6月が繁忙期のケース
  • 算定基礎届が未提出のケース

それぞれの注意点について紹介していきますので、これから算定基礎届を提出しようとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。

給与が翌月払いのケース

給与が翌月払いのケースについては、標準報酬月額の支払基礎日数のカウントが間違えやすくなります。

支払基礎日数は、報酬の計算基礎となっている日数を記入するので、翌月払いなどのケースでは注意が必要です。

たとえば、4月の基礎日数としては、3月の報酬を計算している基礎日数になるので、4月の支払基礎日数は31日と記載するようにしましょう。

休業手当が支給されたケース

みなし 残業 45 時間

休業手当が支給されたケースについては、手当や給与などの名称に関わらず、固定的な報酬であれば、算定基礎届の提出が必要になるので、あらかじめ注意が必要です。

4月から6月の間に休業手当を支給した際の定時決定の取り扱いについては、7月1日時点で休業の状態が解消されているかどうかによって異なります。

7月1日時点で休業の状況が解消されていない場合には、通常の給料の月と休業手当を含む月を含めた平均額の計算を行います。

休業が解消されて通常の給与支払いに戻るケースについては、再度、月額変更届が必要になる可能性があるので、事前に確認をしておきましょう。

7月1日時点で休業の状態が解消されている場合には、休業手当を含まない月のみを対象として計算を行います。

4~6月が繁忙期のケース

4月~6月が繁忙期のケースだと、標準報酬月額の平均額が高くなる傾向があります。

そのような状態を予防する目的で、年間の平均額から算出した標準報酬月額と、4月~6月の平均額から算出した標準報酬月額の比較を行い、2等級以上の差が生じる場合には、年間の平均額から算出した標準報酬月額で決定が可能です。

しかし、被保険者の同意と年間報酬の平均で算定することの申立書の提出が必要になるので、あらかじめ注意が必要です。

算定基礎届が未提出のケース

みなし 残業 45 時間

算定基礎届が未提出のケースについては、保険会社から変更があったときまでさかのぼって届け出を請求されます。

場合によっては、ペナルティが科せられてしまうので、忘れずに手続きをするようにしましょう。

基本的に社会保険は企業側と従業員側がお互いに負担していますが、手続きがされていないと、個人だけの負担になってしまうリスクがあります。

算定基礎届の未提出を予防する方法として、チェックリストを活用したり、自動的にチェックしてもらえるシステムを導入することで、未提出はもちろん、ミスの予防にもつながります。

算定基礎届について理解を深めよう!

今回は、算定基礎届について知りたい方に向けて、算定基礎届の対象者やケース別の算定基礎届の注意点を紹介しました。

具体的に算定基礎届の書き方については、以下が挙げられます。

  • 支払基礎日数を記入
  • 現物支給額と通貨の合計を記入
  • 統計額の記入
  • 平均額を記入

また、ケース別の算定基礎届の注意点を把握しておけば、トラブルを予防することにもつながります。

今回の記事を参考に、算定基礎届について理解を深めてみてください。

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