給与計算を自動化する手順を解説!RPAやAIによる自動化のメリットや注意点とは?

給与計算は従業員の給与に関する膨大なデータを取り扱うため、手動では時間がかかってしまうことがあります。
RPAやAIを活用して給与計算の業務を自動化することで、これまで手作業で行ってきた業務の効率化が可能です。

この記事では給与計算を自動化するメリットや注意点について具体的な手順を踏まえて紹介します。
給与計算の効率化にはメリットが大きい反面、個人情報の取り扱いなどに注意しなければなりません。

給与計算の自動化でバックオフィス業務を改善しましょう!

<この記事で分かること>
・給与計算を自動するメリットとは?
・給与計算を自動化する手順を知りたい

給与計算の自動化でできること|RPAやAIの活用事例

給与計算 自動化

給与計算は従業員の給与を計算して給与の情報を管理する業務です。
勤怠状況や手当および社会保険料・税金の情報を集計し、従業員ごとに給与の計算を行います。

RPAやAIを活用することで、給与計算の業務を自動化することに役立てられます。

  • RPAやAIによる自動入力
  • OCRによる書類登録
  • 給与計算の自動化機能一覧

RPAやAIによる自動入力

RPAやAIによる自動入力によって給与計算に関する入力作業を自動化できます。

RPA(Robotic Process Automation)とは人間が行っていた作業を機械によって自動的に行う技術です。
RPAは単調な反復作業に用いられ、給与計算などバックオフィス業務で活躍します。

RPAはAI(人口知能)と組み合わせることで高度な作業を大体できるようになります。
例えば、毎月行っている社会保険料の月額変更処理をRPAによって実現可能です。

OCRによる書類登録

書類を自動で読み取る際にはOCR(Optical Character Recognition/Reader)という技術が用いられます。
OCRとは手書きで用意された書類やPDFなどをスキャンし、文字データを取り込む技術です。

給与計算においては、従業員に関する個人情報や給与に関する情報を読み取る際にOCRを活用することで転記作業の自動化に役立ちます。

給与計算の自動化機能一覧

給与計算の自動化で行える機能として、以下が挙げられます。

【給与計算の自動化機能一覧】
データ登録の自動化
社会保険料の月変処理
給与計算の実行
給与明細の発行
経費申請の自動チェック

データ登録の自動化

給与計算を自動化することによって、データ登録を自動化できます。

勤怠情報の情報をシステムに入力することで自動的に給与計算ができるため、業務時間の短縮に繋がるでしょう。

社会保険料の月額変更

給与計算を自動化することで、社会保険料の月額変更処理を自動で行えるようになります。

月額変更届とは被保険者の報酬に変動があった場合、社会保険料の標準報酬月額を変更する手続きです。
標準報酬月額は被保険者の給与を金額ごとに等級分けされたものです。

給与の値が変動した場合、標準報酬月額が規定の値まで変動すると自動的に判定できます。

給与計算の実行

給与計算に必要な情報を入力することで、給与計算を実行できます。
データを登録するだけで自動的に給与計算を実行できるため、複雑な計算式を用意する必要がありません。

給与明細の発行

給与計算ソフトでは給与明細の発行を行えます。

所得税法において、雇い主は従業員へ給与明細へ交付しなければならないと義務づけられています。
従業員の同意がある場合、給与明細は電子ファイルで交付することも可能です。

賃金台帳の作成

給与計算ソフトでは賃金台帳の作成ができます。

賃金台帳とは従業員へ支払った賃金や勤怠情報を記した台帳です。
労働基準法によって賃金台帳の作成および保存が義務づけられており、5年間の保存が必要となっています。

2020年の法改正によって、賃金台帳の保存期間は3年間から5年間へ変更されました。

給与計算を自動化するメリット

給与計算 自動化

給与計算を自動化することで、今まで手動で行っていた業務を簡略化できるため、業務効率化に繋がります。

給与計算を自動化するメリットは以下の通りです。

  • 給与計算の業務負担を軽減する
  • ヒューマンエラーを防止する
  • 人員不足の解消
  • バックオフィス業務のコスト削減
  • コア業務への集中
  • 給与情報の一元管理

メリット1.給与計算の業務負担を軽減する

給与計算を自動化する最大の目的は給与計算の業務負担を軽減することです。

給与計算は従業員の給与に関する膨大な情報を取り扱うため、手動で給与計算をすると業務への負担が増してしまいます。

メリット2.ヒューマンエラーを防止する

給与計算を自動化することで人の手による介入が少なくなるため、ヒューマンエラーを防止できます。
人の手で単調作業をするとどうしても人為的なミスが発生し得るものですが、機械に作業を任せることで人為的なミスを失くせるのです。

メリット3.人員不足の解消

給与計算の自動化を進めることで、人員不足の解消が期待できます。

手動による給与計算の実行では給与計算を実行できるスタッフが必要です。
給与計算の業務を自動化することによって、人手による作業を削減できるため給与計算にかける工数を削減できます。

メリット4.バックオフィス業務のコスト削減

給与計算にかける工数を削減することで人件費の削減ができるため、バックオフィス業務のコスト削減に繋がるのです。

メリット5.コア業務への集中

複雑な給与計算を自動化することでコア業務へ集中できます。

コア業務とは経営の根幹にかかる意思決定に関する業務です。
自動化できる業務を機械に任せることで、企業の利益を高める施策の構築に専念できます。

【コア業務とノンコア業務】
コア業務:経営の意思決定に関わる業務。専門的な判断が必要とされる。
ノンコア業務:業務をサポートする業務。簡単な仕事が多く、自動化しやすい。

メリット6.給与情報の一元管理

給与計算を自動化することで給与情報の一元管理ができます。

例えば、給与に関するデータを会計ソフトと共有することで人件費に関する仕訳データを作成できます。

給与計算を自動化する手順と方法

給与計算 自動化

給与計算の自動化をするためには事前にデータ登録の準備をする必要があります。

  1. データ登録
  2. 給与計算の実行
  3. 給与振込に関する処理

手順1.データ登録

給与計算を行うには計算をする根拠となるデータの登録が必要です。
給与計算のデータ登録に必要な情報として、以下の情報を用意しましょう。

【給与計算に必要な情報】
個人情報の登録
給与情報の登録
発令情報(入社・退社など)の登録
勤怠情報の登録

手順2.給与計算の実行

集計した勤怠情報および各種社会保険料などの情報を集計し、従業員ごとの集計を行います。

社会保険料や税金は従業員の給与から差し引き、事業主が国や地方などに納めます。

【社会保険料の控除額計算に必要な情報】
・健康保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・介護保険料(40歳以上65歳未満の従業員のみ)
・所得税
・住民税

手順3.給与振込に関する処理

給与の支給日に従業員へ給与を支払います。

給与計算に従業員の口座情報を登録することで給与振込が可能です。

【給与振込に関する処理】
給与明細の発行
振込ファイルの作成
会計情報の連携

給与計算を自動化する際の注意点

給与計算 自動化

給与計算を自動化する際はいくつか注意しなければならないことがあります。
給与計算で取り扱う情報には個人情報が多く含まれているため、不正や情報漏洩が起きないように慎重に取り扱わなければなりません。

給与計算を自動化する際の注意点として、以下をチェックしましょう。

  • 個人情報の取り扱いに注意
  • 自動化に向いていない業務がある
  • 不正が起きないように管理する

注意点1.個人情報の取り扱いに注意

給与計算に利用するデータは従業員の個人情報や給与に関する情報を扱います。
情報の取り扱い方を間違えると個人情報が漏洩して大きなセキュリティリスクが生じる原因になってしまいます。

給与計算の自動化を検討する際はセキュリティリスクを踏まえたうえでデータを取り扱いましょう。

注意点2.自動化に向いていない業務がある

給与計算の業務にかかる全ての業務が自動化に向いているわけではありません。

例えば、従業員の勤怠打刻は従業員自身が申請するものであるため、自動化に向いていません。
その他にも人事発令や給与の更新など、経営の意思決定が必要な情報は手動で更新する必要があります。

【自動化に向いていない業務】
・従業員の勤怠打刻
・人事発令の更新
・給与の更新

注意点3.不正が起きないように管理する

給与計算を自動化することで給与に関する処理がブラックボックス化してしまう恐れがあります。

これまでも総務に関する担当者が給与に関する勤怠情報を改ざんする事例が報告されています。
このような不正を避けるために、給与計算に関する処理を第三者からもチェックできるような牽制機能を持たせるようにしましょう。


給与計算の自動化に役立つ給与計算ソフト

給与計算 自動化

給与計算の業務を自動化するためには給与計算ソフトの導入がおすすめです。
給与計算ソフトは給与計算に必要な機能を備えています。

ここでは、給与計算の自動化に便利な機能を備えたクラウド型の給与計算ソフトを紹介します。

  • Money Forwardクラウド給与
  • freee人事労務
  • 給与奉行クラウド

Money Forwardクラウド給与

Money Forwardクラウド給与

Money Forwardクラウド給与はクラウド型の給与計算ソフトです。

給与計算対象者の自動判定・各種保険料や所得税などを自動計算し、給与計算にかかっていた作業時間を大幅に効率化します。

ソフト名Money Forwardクラウド給与
サービスURLhttps://biz.moneyforward.com/payroll/
運営会社株式会社マネーフォワード
料金(1ヵ月無料)
パーソナルミニ:800円/月
パーソナル:980円/月
パーソナルプラス:2,980円/月
スモールビジネス:2,980円/月
ビジネス:4,980円
機能一覧確定申告/請求業務
経費/勤怠/給与
年末調整/社会保険
マイナンバー/電子契約

freee人事労務

freee人事労務

freee人事労務は給与計算をはじめとした人事労務を効率化できるクラウド型の給与計算ソフトです。

複雑な労務事務を一つにまとめ、人為ミスの防止や業務時間の短縮を実現します。

ソフト名freee人事労務
サービスURLhttps://www.freee.co.jp/hr/
運営会社freee株式会社
料金(はじめの1ヵ月は無料)
スタンダード:800円/月
ミニマム:400円/月
スターター:600円/月
アドバンス:1,100円/月
機能一覧給与計算の自動化
残業代の計算
社会保険料・雇用保険料の計算
所得税・住民税の計算
給与明細配布・振込を効率化
勤怠情報の入力
機能の特色特長1:給与計算を自動化
特長2:給与明細以外の必要書類も出力
特長3:webで給与の振込も可能

給与奉行クラウド

給与奉行クラウド

給与奉行クラウドは効率的な給与計算とペーパーレス化を実現するクラウド型の給与計算ソフトです。

給与業務のソフトをデジタル化し、入力作業や確認作業にかかっていた工数を削減します。

ソフト名給与奉行クラウド
サービスURLhttps://www.obc.co.jp/bugyo-cloud/kyuyo
運営会社株式会社オービックビジネスコンサルタント
料金30日間無料
機能一覧給与処理
賞与処理
明細書配付・振込

給与計算の自動化でバックオフィス業務を改善しよう!

給与計算 自動化

給与計算業務をはじめとするバックオフィス業務にかかるコストは経営者や人事を悩ませる課題です。
給与計算を自動化することで、給与計算にかけてきたコストを削減するほか、ヒューマンエラーの防止や人員不足の解消を実現できます。

給与計算ソフトを自動化するためにはクラウド型の給与計算ソフトがおすすめです。
便利な給与計算ソフトを導入してバックオフィス業務の効率化を実現しましょう。

ただし、給与計算ソフトの自動化は、最初のセットアップだけでも手間がかかるものです。

私ども社会保険労務士法人はた楽では、「給与計算のアウトソーシング」「社内でのクラウド労務システムの導入」の両面で、全国どの都道府県でもサポートを提供しています。ぜひ、以下のページも参照ください。

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