出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)とは?両立支援等助成金を徹底解説

佐藤東 監修者
社会保険労務士法人はた楽/株式会社はた楽
CEO / Founder
佐藤 東

大阪市立大学(現:大阪公立大学)法学部在学中に、社会保険労務士資格を取得。
株式会社新経営サービスにて、人事制度構築コンサルティングに従事。株式会社アントレプレナーファクトリー執行役員を経て、株式会社はた楽(人事コンサルティング&介護事業)、社会保険労務士法人はた楽を設立。労務DX&給与労務BPOを強みに、全国でサポートを展開中。

はた楽 出生時両立支援コース子育てパパ支援助成金のイメージ

「出生時両立支援コース」とは?「子育てパパ支援助成金」の基本概要

「出生時両立支援コース」は、厚生労働省が実施する「両立支援等助成金」のコースの一つで、「子育てパパ支援助成金」とも呼ばれています。男性労働者が育児休業を取得しやすい職場環境の整備や業務体制の整備を行い、実際に男性労働者が子の出生後8週間以内に育児休業を開始した場合などに、事業主に対して助成金が支給される制度です。

この助成金は、仕事と育児を両立できる職場環境づくりを支援し、男性の育児参加を促進するとともに、労働者の雇用の安定を図ることを目的としています。2026年度(令和8年度)の制度では、主に「男性労働者の育児休業取得」と「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」の2つの区分が設けられています。

両立支援等助成金「出生時両立支援コース」の支給額とコース一覧

はた楽 出生時両立支援コースの支給額とコース一覧

2026年度(令和8年度)の「出生時両立支援コース」は、大きく分けて2つの区分と、1つの加算措置で構成されています。それぞれの区分ごとに支給額や対象となる事業主の範囲が異なります。

区分支給額
男性労働者の育児休業取得1人目:20万円(条件により30万円)、2・3人目:10万円
男性労働者の育休取得率上昇等60万円(プラチナくるみん認定事業主は+15万円)
情報公表加算2万円

①男性労働者の育児休業取得(1人目〜3人目)

「男性労働者の育児休業取得」は、中小企業事業主を対象とした区分です。男性労働者が子の出生後8週間以内に一定日数以上の育児休業を取得した場合に支給されます。

支給額は、1人目が20万円、2人目と3人目がそれぞれ10万円です。さらに、1人目の育休取得前に雇用環境整備措置を4つ以上実施している場合は、1人目の支給額が10万円加算され、最大30万円となります。なお、この区分は1事業主につき3人目までが支給対象です。

②男性労働者の育児休業取得率の上昇等

「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」は、常時雇用する労働者が300人以下の特定事業主を対象とした区分です。男性労働者の育児休業取得率が、1事業年度で30ポイント以上上昇し、かつ50%を達成した場合などに支給されます。

支給額は60万円で、1事業主につき1回限りの支給となります。また、申請時にプラチナくるみん認定事業主である場合は、さらに15万円が加算されます。

育児休業等に関する情報公表加算

「育児休業等に関する情報公表加算」は、自社の育児休業等の取得状況に関する情報を、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」上で公表した場合に適用される加算措置です。

公表する情報には、男性の育児休業等取得率、女性の育児休業取得率、男女別の育児休業取得日数などが含まれます。この要件を満たすと、各コースの助成金に2万円が加算して支給されます。

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)の主な支給要件

出生時両立支援コースを受給するためには、単に男性労働者が育児休業を取得するだけでなく、事前に企業側で様々な環境整備を行う必要があります。ここでは、主な支給要件について解説します。

育児・介護休業法に基づく雇用環境整備の実施

助成金を受給するためには、育児・介護休業法に定められた「雇用環境整備の措置」を複数実施していることが求められます。具体的な措置には、育児休業に関する研修の実施や、相談体制の整備、制度や取得促進に関する方針の周知などがあります。

実施すべき措置の数は、申請する対象者によって異なります。1人目の場合は2つ以上、2人目の場合は3つ以上、3人目の場合は4つ以上の措置を実施している必要があります。

業務代替者の見直しに係る規定策定と業務体制の整備

育児休業を取得する労働者の業務を、周囲の労働者がスムーズに代替できるよう、業務体制の整備を行うことも重要な要件です。

具体的には、育児休業取得者の業務を代替する労働者の残業抑制のための業務見直しなどが含まれた規定等を労使で合意して策定し、その規定に基づいて実際の業務体制を整備していることが求められます。

育休取得日数や取得率上昇などの具体的な達成条件

「男性労働者の育児休業取得」の区分では、対象となる男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する育児休業を一定日数以上取得する必要があります。必要な日数は、1人目が5日以上、2人目が10日以上、3人目が14日以上と定められています。

一方、「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」の区分では、申請年度の前事業年度の男性育休取得率が、前々事業年度と比較して30ポイント以上上昇し、かつ取得率が50%以上を達成することなどが条件となります。

出生時両立支援コースの申請手続きと必要書類

はた楽 出生時両立支援コースの申請手続きと必要書類

助成金を確実に受給するためには、正しい手順で申請手続きを行い、必要な書類を漏れなく提出することが不可欠です。ここでは、申請の流れと必要書類について説明します。

一般事業主行動計画の策定と就業規則の改定

申請の前提として、次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定し、管轄の労働局へ届け出るとともに、社内への周知と外部への公表を行っている必要があります。

また、就業規則(または育児・介護休業規程)に、育児休業制度や育児のための所定労働時間短縮措置などについて明記し、労働基準監督署へ届け出ていることも必須条件となります。

申請期限と管轄の労働局への提出書類一覧

申請期限は区分によって異なります。「男性労働者の育児休業取得」の場合は、対象労働者の育児休業が終了した日の翌日から起算して2か月以内です。「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」の場合は、支給要件を満たす事業年度の翌事業年度が開始してから6か月以内となります。

  • 支給申請書および支給要件確認申立書
  • 就業規則または育児・介護休業規程
  • 対象労働者の出勤簿および賃金台帳

労務管理システムを活用した電子申請のメリット

両立支援等助成金は、厚生労働省が提供する「雇用関係助成金ポータル」を利用した電子申請に対応しています。電子申請を利用するには、事前にGビズIDを取得する必要があります。

電子申請を活用することで、窓口への持参や郵送の手間が省けるだけでなく、一部の添付書類(支給要件確認申立書など)の提出が不要になるというメリットがあります。労務管理システムと連携させることで、申請業務の大幅な効率化が期待できます。

企業が男性育休を推進し助成金を活用するメリット

男性の育児休業取得を推進し、出生時両立支援コースを活用することは、助成金という金銭的な支援を受けられるだけでなく、企業経営においても様々なメリットをもたらします。

優秀な人材の確保と離職防止

男性が育児休業を取得しやすい職場環境を整えることは、従業員のワークライフバランスの向上につながり、企業に対するエンゲージメントを高めます。これにより、育児を理由とした離職を防ぐことができます。

また、子育てに理解のある企業としてのイメージが向上するため、採用市場においても求職者への強力なアピールポイントとなり、優秀な人材の確保に有利に働きます。

属人化の解消と業務効率化の実現

従業員が育児休業を取得する際には、不在期間中の業務を他のメンバーでカバーするための体制づくりが必要になります。この過程で、業務の棚卸しやマニュアル化、引き継ぎが行われます。

結果として、特定の担当者しか業務がわからないという「業務の属人化」が解消され、組織全体の業務効率化や生産性の向上につながるという大きなメリットがあります。

両立支援等助成金の「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」を確実に受給するためのポイント

助成金を確実に受給するためには、事前の準備と正確な労務管理が欠かせません。まず、対象となる労働者が育児休業を開始する前までに、雇用環境整備や業務体制整備の措置を完了させておく必要があります。

また、就業規則や育児・介護休業規程への制度の明記、一般事業主行動計画の策定と届出も事前に行っておくべき重要なポイントです。さらに、申請には出勤簿や賃金台帳などの書類提出が求められるため、日頃から労働関係法令を遵守し、正確な記録を残しておくことが重要です。

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