
繁忙期や人手不足が原因で、従業員の連続勤務が発生することは、多くの企業が抱える課題です。しかし、過度な連続勤務は従業員の健康を害するだけでなく、労働基準法に違反するリスクも伴います。
本記事では、労働基準法における連続勤務の規制や上限日数の計算方法、例外的なケースを解説します。さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した解決策についても、人事労務のプロの視点からご紹介します。
目次
連続勤務を規制する労働基準法の基本ルール

まず、労働基準法で休日がどのように定められているか、基本的なルールから確認していきましょう。
原則は「週1日の休日」|上限は12連勤となる仕組み
労働基準法第35条第1項は、「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない」と定めています。ここで重要なのが「1週間」の定義で、就業規則に特別な定めがなければ「日曜日から土曜日まで」と解釈されます。
このルールに基づくと、下記のようなシフトを組むことで、最大「12連勤」が可能になります。
- 第1週: 日曜日を休日とし、月曜日から土曜日まで勤務(6連勤)
- 第2週: 日曜日から金曜日まで勤務し、土曜日を休日とする(6連勤)
この場合、第1週の月曜日から第2週の金曜日まで連続で勤務することになります。しかし、各週に1日ずつ休日(第1週は日曜日、第2週は土曜日)が設定されているため、法律上は適法です。これが、連続勤務の上限が原則12日とされる理由です。
法律に違反した場合の罰則
もし「毎週少なくとも1回の休日」を与えなければ、労働基準法第35条違反に該当します。その場合、同法第119条に基づき、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があります。
また、刑事罰の対象となるだけでなく、労働基準監督署からの是正勧告や、悪質なケースでは企業名が公表されるなど、社会的信用を失うリスクも伴います。
連続勤務の上限日数が変わる3つの例外ケース

連続勤務の上限は原則12連勤ですが、導入している労働時間制度や職種によっては上限日数が異なります。ここでは、3つの例外的なケースについて解説します。
【例外1】変形休日制なら最大24連勤も可能?
「変形休日制」とは、4週間を通じて4日以上の休日を付与する制度です(労働基準法第35条第2項)。この制度を導入すると、特定の週に休日がなくても、4週間以内に合計4日の休日が確保されていれば法律上問題ありません。
理論上、ある4週間の初日に4日分の休日を、次の4週間の最終日に4日分の休日をまとめて付与すれば、その間の最大24日間を連続勤務とすることも可能です。ただし、これはあくまで法解釈上の話であり、従業員の健康を著しく害する恐れがあるため、実務では絶対に避けるべきです。
【例外2】1年単位の変形労働時間制での上限
「1年単位の変形労働時間制」を導入している場合、連続勤務の日数は原則として「6日」が上限です。
ただし、労使協定で「特定期間」(繁忙期など)を定めている場合は、その期間内に週1日の休日が確保されていれば、原則通り「12連勤」まで認められます。つまり、通常期は6連勤、繁忙期は12連勤が上限という制限になります。
【例外3】管理監督者の扱いはどうなる?
労働基準法第41条が定める「管理監督者」には、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用されません。そのため、法律上の連続勤務の上限日数は設けられていません。
しかし、これは「無制限に働かせてよい」という意味ではありません。企業は従業員に対する「安全配慮義務」を負っており、管理監督者であっても過重労働で健康を損なえば、企業がその責任を問われます。
上限を超えた連続勤務が企業に与える4つの重大リスク

法律上の上限を超えた連続勤務はもちろん、適法な範囲内であっても過度な連勤は、企業に深刻なリスクをもたらします。
従業員の心身の健康を損なうリスク
長期間の連続勤務は疲労の蓄積につながり、脳・心臓疾患やうつ病といった精神疾患を引き起こすリスクを高めます。これらの疾病は労災認定される可能性も高く、従業員の人生を左右しかねない重大な問題です。
生産性の低下と品質への悪影響
十分な休息が取れないと、集中力や判断力が低下します。その結果、業務上のミスや事故が増加して生産性が著しく低下するだけでなく、サービス品質の悪化が顧客満足度の低下に直結します。
離職率の増加と採用コストの増大
「休みが取れない」職場環境は、従業員のエンゲージメントを下げ、離職の主な原因となります。離職者が増加すると、新たな採用や教育にかかるコストが増大し、結果として経営を圧迫します。
安全配慮義務違反による法的リスク
企業は、従業員が安全かつ健康に働けるよう配慮する義務(安全配慮義務)を負っています。過度な連続勤務を放置した結果、従業員が健康を損なった場合、たとえ労働基準法の休日規定を満たしていても、安全配慮義務違反として損害賠償を請求される可能性があります(電通事件などの判例あり)。
人事労務DXで実現する!連続勤務を防ぐための実践的対策

連続勤務を防止し、適正な労務管理を実現するには、手作業での管理には限界があるため、DXの活用が非常に有効です。
勤怠管理システムの導入でリアルタイムに状況を把握
クラウド型の勤怠管理システムを導入すれば、従業員の勤務状況をリアルタイムで可視化できます。特に「アラート機能」を使えば、連続勤務が上限に近づいている従業員やその管理者へ自動で警告が通知されるため、問題を未然に防ぐことが可能です。
業務プロセスの見直しとITツールによる効率化
単に「休むように」と指示するだけでは、根本的な解決にはなりません。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIツールで定型業務を自動化するなど、業務プロセスそのものを見直し、従業員一人ひとりの負担を軽減することが重要です。
適正な人員配置と採用計画の見直し
特定の従業員に業務が偏らないよう、スキルマップを活用して多能工化を進め、業務の平準化を図ることが重要です。また、慢性的な人手不足に陥っている場合は、計画的な採用活動が不可欠です。
対策を後押しする「勤務間インターバル制度」と助成金の活用
連続勤務への対策として、「勤務間インターバル制度」が有効です。この制度は、終業から次の始業までに一定の休息時間(例:9〜11時間)を確保する仕組みです。
国もこの制度の導入を後押ししており、「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」を活用すれば、勤怠管理システムの導入やコンサルティングにかかる費用の一部が助成される場合があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成金名称 | 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース) |
| 申請期間 | 令和7年4月1日〜令和7年11月28日(予定) |
| 対象 | 中小企業事業主 |
| 助成対象経費 | 労務管理用機器、コンサルティング費用など |
※申請期間や要件は変更される可能性があるため、必ず厚生労働省の最新情報をご確認ください。
連続勤務の規制遵守で、企業の健全な成長を実現
連続勤務に関する規制を守ることは、法令遵守の観点だけでなく、企業の持続的な成長に不可欠です。従業員が健康で意欲的に働ける環境を整備することが、生産性の向上や優秀な人材の確保につながります。DXを有効活用し、無理のない働き方を実現しましょう。









