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特別支給の老齢厚生年金とは?対象となる3つの条件
特別支給の老齢厚生年金とは、厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳へ引き上げられた際に設けられた経過措置の制度です。65歳になる前に年金を受け取ることができますが、誰でももらえるわけではありません。
この年金を受給するためには、生年月日や加入期間などの条件をすべて満たす必要があります。対象となるための3つの主な条件について詳しく確認していきましょう。
条件1|生年月日(男性は昭和36年、女性は昭和41年以前)
一つ目の条件は、定められた生年月日以前に生まれていることです。男性の場合は昭和36年4月1日以前に生まれた方が対象となります。
女性の場合は男性より5年遅く設定されており、昭和41年4月1日以前に生まれた方が対象です。この生年月日以降に生まれた方は、原則として65歳からの受給となります。
| 対象者 | 対象となる生年月日 |
|---|---|
| 男性 | 昭和36年4月1日以前 |
| 女性(民間) | 昭和41年4月1日以前 |
| 女性(公務員等) | 昭和36年4月1日以前 |
条件2|厚生年金保険の加入期間が1年以上ある
二つ目の条件は、会社員や公務員として厚生年金保険に1年以上加入していた期間があることです。共済組合の組合員であった期間もこの加入期間に含まれます。
加入期間が1年未満の場合は、他の条件を満たしていても特別支給の老齢厚生年金を受け取ることはできません。ご自身の加入期間はねんきん定期便などで確認することができます。
条件3|老齢基礎年金の受給資格期間が10年以上ある
三つ目の条件は、老齢基礎年金の受給資格期間が10年以上あることです。この期間には、国民年金の保険料を納付した期間や免除された期間などが含まれます。
以前は25年以上の期間が必要でしたが、平成29年の制度改正により10年以上に短縮されました。厚生年金や共済組合に加入していた期間も合算して計算されます。
特別支給の老齢厚生年金を受け取る3つのデメリット

特別支給の老齢厚生年金は早くから年金を受け取れるメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。働きながら受け取る場合や他の給付金を利用する場合には注意が必要です。
制度の仕組みを正しく理解していないと、結果的に手取り額が減ってしまう可能性もあります。ここでは代表的な3つのデメリットについて詳しく解説します。
デメリット1|在職老齢年金により減額される(50万円の壁)
働きながら年金を受け取る場合、給与と年金の合計額が一定の基準を超えると年金の一部または全額が支給停止になります。これを在職老齢年金制度と呼びます。
2025年度の支給停止調整額は51万円に設定されており、2026年4月からは65万円に引き上げられる予定です。基準額を超えた分については、半額が年金から差し引かれる仕組みになっています。
デメリット2|税金や社会保険料の負担が増加する
特別支給の老齢厚生年金は雑所得として扱われるため、所得税や住民税の課税対象となります。年金を受け取ることで全体の所得が増え、税金の負担が重くなることがあります。
さらに所得が増加することで、国民健康保険料や介護保険料などの社会保険料も高くなる可能性があります。配偶者の扶養に入っている場合は、扶養から外れてしまうケースもあるため注意が必要です。
デメリット3|繰下げ受給による増額ができない
65歳から受け取る本来の老齢厚生年金は、受給開始を遅らせることで年金額を増やす繰下げ受給が可能です。しかし、特別支給の老齢厚生年金には繰下げ受給の制度がありません。
そのため、受給を遅らせても受け取れる年金額が増えることはないという特徴があります。受給開始年齢に達したら、速やかに請求手続きを行うことが推奨されています。
デメリットを回避して損をしないための対策
特別支給の老齢厚生年金を受け取る際には、事前の対策を行うことでデメリットを最小限に抑えることができます。働き方や他の給付金との兼ね合いを考えることが重要です。
ご自身の状況に合わせて、どのような選択が最も有利になるかを検討しましょう。ここでは具体的な3つの対策について紹介します。
在職老齢年金の支給停止調整額を意識した働き方を選ぶ
年金の減額を防ぐためには、給与と年金の合計額が支給停止調整額を超えないように働くことが有効です。勤務時間や日数を調整して、収入をコントロールする方法があります。
また、厚生年金保険に加入しない働き方を選ぶことで、在職老齢年金による減額を回避することも可能です。パートやアルバイトとして労働時間を短く設定するのも一つの選択肢です。
額面ではなく手取り額ベースでシミュレーションを行う
年金を受け取ることで税金や社会保険料が増加するため、額面の収入だけで判断するのは危険です。必ず手取り額がいくらになるかをシミュレーションすることが大切です。
収入が増えても税金などの負担がそれ以上に増えれば、結果的に手元に残るお金が減ってしまうこともあります。専門家に相談しながら、正確な手取り額を計算してみましょう。
失業給付(基本手当)との併給調整に注意する
65歳未満で退職してハローワークで求職申し込みをすると、雇用保険の失業給付を受け取ることができます。しかし、失業給付と特別支給の老齢厚生年金は同時に受け取ることができません。
失業給付を受給している期間中は、年金の全額が支給停止となります。どちらを受け取る方が金額的に有利になるかを事前に比較検討することが求められます。
特別支給の老齢厚生年金の請求手続きと注意点

特別支給の老齢厚生年金は、受給開始年齢になっても自動的に支給が始まるわけではありません。ご自身で年金事務所などに請求手続きを行う必要があります。
手続きが遅れると年金を受け取れない期間が発生してしまうため、スケジュールを把握しておくことが大切です。具体的な手続きの流れと注意点を確認しましょう。
請求手続きの流れと必要書類
受給開始年齢に到達する3カ月前になると、日本年金機構から年金請求書がご自宅に送付されます。受給権が発生する誕生日の前日以降に、年金事務所へ書類を提出してください。
提出の際には、年金請求書のほかに戸籍謄本や住民票などの添付書類が必要になります。これらの書類は受給権発生日以降に交付されたもので、提出日から6カ月以内のものを用意しましょう。
- 年金請求書
- 戸籍謄本または住民票
- 受取先金融機関の通帳等
請求忘れによる5年の時効に要注意
年金を受け取る権利には法律で定められた期限があり、5年間請求しないと時効によって消滅してしまいます。請求を忘れたまま5年以上経過すると、過去の年金の一部が受け取れなくなります。
特別支給の老齢厚生年金には繰下げ受給の制度がないため、請求を遅らせるメリットはありません。案内が届いたら速やかに手続きを完了させるように心がけてください。
特別支給の老齢厚生年金のデメリットや条件を正しく理解しよう
特別支給の老齢厚生年金は、一定の条件を満たした方が65歳前から年金を受け取れる非常に重要な制度です。しかし、働き方や他の給付との調整によって減額されるリスクもあります。
税金や社会保険料の負担増といったデメリットも考慮し、手取り額を意識した対策を立てることが大切です。制度の仕組みを正しく理解し、ご自身にとって最適な選択をしてください。









