ベースアップ評価料とは?令和8年度改正の変更点と実務対応を解説

佐藤東 監修者
社会保険労務士法人はた楽/株式会社はた楽
CEO / Founder
佐藤 東

大阪市立大学(現:大阪公立大学)法学部在学中に、社会保険労務士資格を取得。
株式会社新経営サービスにて、人事制度構築コンサルティングに従事。株式会社アントレプレナーファクトリー執行役員を経て、株式会社はた楽(人事コンサルティング&介護事業)、社会保険労務士法人はた楽を設立。労務DX&給与労務BPOを強みに、全国でサポートを展開中。

はた楽 ベースアップ評価料令和8年度改正のイメージ

ベースアップ評価料とは?令和8年度(2026年度)改正のポイント

令和8年度(2026年度)の診療報酬改定では、医療現場で働くスタッフの待遇を改善するための仕組みが大きく見直されました。中でもベースアップ評価料の拡充は、多くの医療機関にとって経営や人事戦略に直結する重要なトピックとなっています。

医療従事者の処遇改善を目的とした診療報酬の加算制度

ベースアップ評価料とは、医療従事者の賃金を引き上げるための原資を診療報酬として上乗せする制度です。物価高騰や深刻な人手不足が続く中で、スタッフの離職防止と人材確保を強力に後押しする狙いがあります。

令和8年度から事務職員や若手医師も対象職種に拡大

これまでは主に看護師やコメディカルが対象でしたが、令和8年度からは事務職員や40歳未満の若手医師なども対象職種に追加されました。これにより、医療機関を支える幅広い職種のスタッフに対して、より公平な賃上げを実施できる環境が整います。

継続的な賃上げ実績に応じた点数の大幅な引き上げ

今回の改定では、2024年度および2025年度に規定の賃上げを実施する医療機関に対して、ベースアップ評価料が新設されることになりました。一方で、未届出の病院には入院基本料の減算措置が設けられるなど、賃上げの実績によって評価に明確な差がつく仕組みとなっています。

令和8年度(2026年度)改正におけるベースアップ評価料の対応手順

はた楽 ベースアップ評価料の概要と令和8年度改正のポイント

対象職種の拡大や点数の変更に伴い、医療機関は新しいルールに基づいた手続きを進める必要があります。ここでは、令和8年度改正に向けた具体的な対応手順を分かりやすく解説します。

5月中の施設基準の再届出と必要な様式の確認

6月以降も引き続きベースアップ評価料を算定する場合、すでに届出済みの医療機関であっても5月中に施設基準の再届出を行わなければなりません。厚生労働省が指定する様式95〜100の中から、自院の施設類型に合ったものを選択して管轄の厚生局へ提出してください。

賃金改善計画書の廃止と新たな届出ルールの把握

医療機関の事務負担を軽減するため、これまで届出時に必須だった事前の賃金改善計画書の提出が廃止されました。将来の見込みを詳細に計算するプロセスが省略されたことで、よりスムーズに制度を導入できるようになっています。

毎年8月に提出する中間報告書と実績報告書の準備

事前の計画書が不要になった代わりに、実際に賃上げが行われたかを確認する事後報告の重要性が増しています。毎年8月には、前年度の賃金改善実績報告書と当年度の中間報告書を確実に提出できるよう、日頃からデータを整理しておきましょう。

ベースアップ評価料を算定するメリットと労務管理上の注意点

はた楽 ベースアップ評価料のメリットと労務管理上の注意点

ベースアップ評価料の活用は、スタッフのモチベーション向上に直結する一方で、人事労務面での適切な管理が求められます。ここでは、制度を利用するメリットと実務上の注意点について詳しく見ていきましょう。

賃金水準の向上による人材確保と離職防止の効果

診療報酬を原資として給与を引き上げることで、採用市場において他院と差別化を図ることができます。既存スタッフの待遇改善にもつながるため、他業種への人材流出を防ぐ強力な施策となるでしょう。

定期昇給分との明確な切り分けと給与規程の見直し

ベースアップ評価料による賃上げは、毎年の定期昇給とは明確に区別して実施しなければなりません。基本給の引き上げや新たな手当の創設など、実態に合わせた給与規程の改定を忘れずに行う必要があります。

算定額が実際の賃上げ額を上回った場合の賞与等での調整

月々の給与で賃上げを行ったものの、最終的な算定収入が実際の支給額を上回ってしまうケースも想定されます。その場合は、差額分を賞与や一時金として支給して調整することが認められているため、柔軟な対応が可能です。

給与計算のDX化でベースアップ評価料の実績管理を効率化

対象職種が拡大し、報告業務も継続的に発生するため、従来の手作業による労務管理では限界が生じやすくなります。給与計算システムのDX化を進めることで、これらの課題をスムーズに解決できます。

毎月の給与データから賃上げ実績を正確に集計する仕組みづくり

実績報告書を作成するには、対象となるスタッフごとの賃上げ額を毎月正確に把握しておかなければなりません。クラウド型の給与計算システムを導入すれば、必要なデータを自動で集計できる仕組みを簡単に構築できます。

複雑な手当計算を自動化し担当者の事務負担を軽減

職種ごとに異なる賃上げ率や新しい手当の計算を手作業で行うと、ミスが発生しやすく担当者の負担も増大します。システム上で計算式を設定して自動化することで、複雑な給与計算業務の時間を大幅に削減することが可能です。

監査や実績報告に備えた根拠資料のクラウド保存と一元管理

厚生局への報告や将来的な監査に備えて、給与明細や賃金台帳などの根拠資料はいつでも取り出せる状態にしておく必要があります。これらのデータをクラウド上で一元管理して安全に保存しておけば、いざという時にも慌てず対応できます。

令和8年度のベースアップ評価料への対応と持続可能な人事制度の構築

令和8年度の診療報酬改定は、医療機関における賃上げが一時的な施策から恒久的な制度へと移行したことを意味しています。ベースアップ評価料を適切に活用し、スタッフが安心して長く働ける持続可能な人事制度を構築していきましょう。

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